ビジネス

2020.06.18

【独白】プロ経営者としてマザーズ史上最年少上場、サイバーセキュリティクラウド大野暉社長の29年

サイバーセキュリティクラウドの大野暉社長(写真=小田駿一)


「ごちクルの次の事業を僕が作ります」


大学4年のタイミングで初めて「就職」をすることにした。外資系コンサルなどから内定を獲得したが、就職先は宅配弁当の配達・デリバリーサイト「ごちクル」などを手掛けるスターフェスティバルに決めた。

岸田祐介代表と自宅が横だったことで知り合いになった。「楽天のような成長を目指している」と岸田代表は語った。堅調に利益を出してきた自身の経営とはまったく違う考え方だった。

「3年間、25歳になるまで勉強させてください。ごちクルの次の事業を僕が作ります。上場準備や資金調達の部分をしっかり見させてください」。岸田社長と握った。

数億円を売り上げる経営者から、年齢と同じ月給22万円の社員へ。初年度はオペレーションを学び、新規事業を立ち上げる部署を作らせてもらい、「ごちクル」に次ぐ事業立ち上げに奔走した。

翌年は大規模のファイナンスを担当。アスクルから総額28億円を調達、資本提携を実現させた。さらに両者の提携のインパクトを最大化させられるよう、アスクルの経営企画室に出向。経営管理全般を学んだ。

そしてスターフェスティバルに戻り、デリバリー型社員食堂「シャショクル」サービスを立ち上げた後、サラリーマンを卒業した。

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サイバーセキュリティクラウドの大野暉社長(写真=小田駿一)

25歳、プロ経営者の道へ


25歳。さて、何をしようか。18歳の時に挫折した「規模の最大化」と「社会性」の両立ができる事業とは。

現代版「インフラ」となるのは、データとセキュリティだと思った。ビッグデータ解析とセキュリティのビジネスモデルを考えた。

そんな時、ベクトルを国内最大規模のPR会社へと成長させた西江肇司氏に会った。こんな事業を考えている、と言うと、「株主をやっているサイバーセキュリティクラウドという会社があって、Webのセキュリティをやっている。既に良いプロダクトとビジネスモデルはあるがさらに伸ばしていきたい。興味はないか」と話があった。

サラリーマンも経験した結果、「ファウンダー」であることに固執する必要はないということに気づいた。最速で事業の最大化を狙いに行くなら、プロ経営者として手がけるのも選択肢としては一番近道なのかもしれないと考えた。

そこでサイバーセキュリティクラウドの株主に提案し、賛同をもらった。自身が代表になり、新しい挑戦をスタートさせた。
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文=林亜季、写真=小田駿一

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