ビジネス

2020.06.18

生活の基盤はリアルからバーチャルへ なりたい自分で生きていく「Thirdverse構想」

(左から、伴、國光、新)


自分が生きていく社会の仕組みを創り・選ぶ「第三段階」


Thirdverse構想の最後となる第三段階では、「自分が生きやすい社会を選べる」仕組みを創りだします。完成目標は、2030年です。

第一段階・第二段階は自分自身を変えることにフォーカスしてきましたが、とはいえ人が集まればルールが必要になり、社会が生まれます。この社会を生きやすいものにするためにはどうしたらいいかが課題であり、ここでもブロックチェーンやビットコインの技術が関わってきます。

一つの社会の中で複数の意見・対立が生まれたときに、現実世界では民主主義によって多数決でどちらか一方が選ばれることが多いですが、「じゃあそっちでも試してみよう」と分裂させて新たなコミュニティを創ることができるのが、ブロックチェーンを用いた仮想通貨の特徴です。このハードフォークと呼ばれるシステムにより、「自分たちが正しいと思う方法を試す」ためにコミュニティを分岐させることができます。結果、よかった方に人が集まり、そちらが主流になっていくという、現実世界では実現できない流れを作ることができます。

これはコミュニティに止まらず、社会そのものが複数あっても良いわけです。

ここはアートを楽しむだけの社会、ここは戦いの中で鍛錬を重ねる社会、ここはゆっくり過ごしたい人だけが集まる社会…色々あっていいと思っています。現実では1つの社会の中で全員が生きていかなければならないため、組織ごとの力関係の強い弱いや、双方の批判が生まれがちです。バーチャルの世界であれば、ある程度の人数が集まったら分岐して、同じ考え方を持つ者同士でその社会をよくするために、それぞれ切磋琢磨して制度を作っていけばいいんです。もし突出して成功する制度が生まれれば、それを現実社会に持ってきてもいい。

現実社会に不満があったとしても、変えることは相当難しい。失敗が許されないため、リセットが事実上できないからです。トライアンドエラーが難しい現実社会に変わってバーチャル空間で試し、良い結果を現実世界に逆輸入をするということも可能です。人の生き方が変わるということは、社会が変わるということです。第三段階では複数の政治形態、複数の社会の仕組みすらも自分の好きなところを選べる、そんな未来を描いていきます。
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取材・執筆:柴田 佐世子 編集:柴山 由香 撮影:稲垣 純也

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