Drishti TechnologiesのAIがユニークな点は、データを分析するだけでなく、分析対象となるデータを生成していることだ。このアイデアを考案したのは、現在57歳のAkellaだ。
彼は、1990年代にゼネラルモーターズで協働ロボットの開発責任者を務めていた。製造畑出身のAkellaは、営業やマーケティングが多くの資金を調達しているのに対し、この分野が見落とされていることに気づいて起業を思い立ったという。
「私は、そのとき既に50歳を過ぎていた。妻は、本当に今から起業するのかと私に問いかけた」と彼は話す。
日本市場に注力
Akellaは元アマゾンのエンジニアリング・ディレクターでエンジェル投資家だったGuptaに声を掛けた。2人は、グーグルとアドビでコンピュータ・ビジョンを手掛けたChaudhuryとバンガロールで知り合い、Chaudhuryは3人目の共同創業者兼チーフ・テクノロジー・オフィサーとして参画した。
彼らは、インドにエンジニアリングとプロダクト開発のチームを編成した(現在、Drishti Technologiesはバンガロールとマウンテンビューに拠点を置いている)。
Drishti Technologiesにとって大きな課題は、コンピュータ・ビジョンをビデオストリームに応用することだった。1つの画像を解析するのに比べて、異なる作業に従事する従業員の動きを検知するのは難題だったという。
Drishti Technologiesの顧客には、フォード、日産、デンソー、シンガポールのエレクトロニクスメーカー「Flex」などが含まれる。現在、トヨタが北米工場の一部でDrishti Technologiesのテクノロジーをテスト導入している。
製造業は、数兆ドル規模の巨大市場だ。Drishti Technologiesは、これまで北米市場に特化し、日産やデンソーなどの北米工場にも技術を提供してきた。Akellaによると、新たに調達した資金を使って海外展開を図り、特に日本進出を強化するという。
2018年版のブルッキングス研究所レポートによると、日本の製造業生産高は1兆ドルで、世界市場の10%に相当する。これは、中国、アメリカに次ぐ世界3位の規模だ。
「我々が次に進出を目指すのは日本市場だ。製造業はグローバルであり、我々は北米に拠点を持つ世界トップクラスのメーカーと組むことで、それらの企業の海外拠点にも製品を導入していきたい」とAkellaは語った。