WWDCを直前に控え、アップルが2008年7月のローンチから間もなく12周年を迎えるアプリサービス「App Store」に関連するプレス発表を行った。App Storeで日々発生しているアプリ販売がもたらす直接的な収益の外に、同社が「App Store経済圏」と呼ぶサービス周辺の経済効果が2019年の単年で5190億ドル(約56兆円)にまで膨らんでいることが、第三者による研究調査の結果から見えてきたというのだ。
App Storeが世界の経済活動に巨大なインパクトをもたらしている
今回の研究調査は米Analysis Groupの独立系エコノミストにより実施されたものとして、アップルのWebサイトにその詳細なデータが公開されている。この研究調査を通じて、アップルも12年間に渡って展開してきたApp Storeが世界の経済活動にもたらすインパクトについて、おぼろげに見えていたものがより明確な実態をもって掴めたようだ。
研究データの詳細についてはWebに公開されているデータを参照していただきたい。要約すると、App StoreのユーザーがiPhoneやiPad、直近では昨年にApp Storeから直接のアプリダウンロードに対応しApple Watchまで、様々なアップルのデバイスを使って行った経済活動の内、アプリ経由で実体を伴う商品(食料品を除く)や旅行にライドシェアなどのサービスを消費したモバイルコマースの売上高が2019年に4130億ドル(約44兆円)に上ったという。こちらに続く形で映像・音楽配信にゲーム、電子書籍などを含むデジタルのグッズとサービスの売上高は610億ドル(約6.5兆円)、App内広告による売上高は450億ドル(約4.8兆円)のボリュームに到達したと資料の中で説明されている。
研究のデータは2019年には「App Store経済圏」が単年で5190億ドル(約56兆円)の経済効果をもたらしたと説明している。内訳を見ると実体を伴うアイテムやサービスの売り上げにつながるモバイルコマースの成果が最も大きかったようだ。
調査結果はアップルのデバイス上で実際に発生した消費、利用されたサービスだけに的を絞った集計であり、反対にApp Storeでアプリ内購入されたものの中でも、ユーザーが利用する場面がアップルのデバイス以外である場合は分析から除外しているという。
また報告書では、今回把握できたApp Store経済圏の売り上げ状況や、もたらす価値創出は“控えめな概算”に基づいて導き出されたものであるとされている。今後2021年には6300億ドル(約67兆円)にまでその規模がさらに拡大するという見方もあるようだ。