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ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信

コミッショナーのロブ・マンフレッド(Alex Trautwig / MLB Photos by Getty Images)

日本ではプロ野球が6月19日から無観客試合で開幕するが、アメリカではメジャーリーグ(MLB)の開催がいよいよ怪しくなってきた。

コロナ禍を理由に、MLBの開幕が遅れていることはいうまでもないが、各都市が少しずつ規制を緩め、人々も工夫のなかで日常に回帰していこうとしているときに、いったいいつ開幕になるのかがずっと話題になってきていた。

実は、MLB機構と選手会の間で選手の総年俸枠をめぐって揉めており、なかなか決着を見なかったのだが、コミッショナーのロブ・マンフレッドがテレビカメラの前で、「2020年の野球は必ず開催される」と言い続けてきたので、ファンは楽観視していて、あとは時間の問題だろうと思われていた。

ところが、6月15日、コミッショナーが100%と主張していたこれまでの「開催宣言」を翻し、初めて「正直なところ、もうわからなくなった」とESPNの放送内で発言。大きな波紋を呼んでいる。

選手会側は契約破棄だと語気を強める


契約と交渉の中身については、当然外部公表されていないので、スポーツジャーナリズムは推測に追われているが、明らかなのは、弁護士出身のマンフレッド・コミッショナーと選手会の利益を代表するブルース・マイヤー弁護士とのあいだで、「弁護士vs弁護士」の壮絶な戦いになっているということだ。

少し振り返ると、ほとんどの州で自宅待機令が出た3月26日に、いったんMLB機構と選手会は速やかに年間89ゲームで年俸総額2250億円の支払いで合意している。これは通常年度の半分の金額で、機構と選手会で痛みを分かち合った形だ。

コミッショナーによれば、この時点では、MLB機構は(連邦政府や州政府が自宅待機令を緩めることを条件に)、ファンを球場に入れる従来の試合の形での途中開催をイメージしていた。つまり、暖かくなり、新型コロナウイルスが感染力を弱め、いままで通りの満員の観衆のなかで野球をするという想定のもとで金勘定がなされ、契約が交わされていたのだ。

ところが、大方の想定をくつがえし、ウイルスの驚異的な感染が今になっても続いている状況を受け、野球場に観客を入れた形での開催が難しくなっている。すると機構側では金勘定の前提が変わり、「3月26日契約」を遵守することが難しくなってきているというわけだ。

文=長野慶太

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