社会的マイノリティの眼差し


2010年の調査では、人種を超えた結婚が婚姻関係にある人全体の15%になっていた。2013年には、18歳未満の人口の23%がミックスレイスであるという結果も発表されている。

私の夫は、どの角度から見ても黒人だ。アメリカで10年おきに行われる人口調査でも、彼は迷わず黒人という枠にチェックをいれていた。だが、ここ数年アメリカで流行りのDNA鑑定により、彼の家族の背景には、ヨーロッパ人、アフリカ人、アジア人と3人種が存在することがわかり、見た目だけでシンプルに黒人とは言えなくなった。

彼のように多人種をルーツにもつアメリカ生まれの人たちが、人口のマジョリティーになるのもそう遠くない。2045年には、純粋に白人という人の方がマイノリティーになるだろうと推測されている。

オバマ前大統領就任後、白人至上主義のヘイトが急増したが


トランプ大統領就任式に参加するオバマ前大統領
写真は2017年1月、トランプ大統領(左)就任式に出席するオバマ前大統領 (Getty Images)

オバマ前大統領が就任した2009年以降、アメリカでは白人至上主義のヘイトグループが急増した。それが象徴するように、白人という人種を守るためアメリカではこれからも政界から草の根の活動まで、白人優位主義者たちの動きが活発化することも予想される。

ただ、すでに彼らがマイノリティーであるのは確かだ。今世界各地で起こっているBlack Lives Matterのムーブメントとデモの参加者には白人層も多く、また2つ以上の人種が背景にあることを自覚しているアメリカ人が実際に増えているからだ。

Black Lives Matterを日本語では「黒人の命は(も)大切だ」などと訳されている。でもそれでは「Matter」という言葉が持つ力が伝わっていない。ここでいうMatterには、黒人に対して何度も繰り返される差別の歴史と、その中で沈黙してきた人々と、さらにはDNAが語る多様な人々の存在が絡み合い、「黒人の命は社会や人々と繋がっている」ことが込められているのだ。

だからこそ、Black Lives Matterは黒人のためだけではない。アメリカに住む多くの人々のアイデンティティーに関わることであり、愛する人を守るための切実な叫びである。

これを機に次回は、自分の中にあるステレオタイプや偏見にも目を向けてみたい。沈黙こそが加害者を野放しにしているのだから。

新連載:社会的マイノリティの眼差し
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文=大藪順子

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