社会的マイノリティの眼差し


今回のデモを見ていて、いろんな怒りが垣間見られる。人権侵害に対する怒りに加え、コロナでステイホームを強いられたストレスや失業者が4000万人以上の現実の中での先の見えない不安、大統領に対する溜まりに溜まった不信感。

Black Lives Matterは、警察に殺される率が白人に比べて倍以上の黒人が置かれているシステム化された差別に対するスローガンだ。90年代に黒人男性はメディアに「絶滅危惧種」のようだと表現されたほど、あらゆる場面で不当な扱いを受け、その頃には民営化された刑務所の利益のために、無実の罪に問われた黒人が無数に出たという歴史もある。

肌の色だけで判断される危険性


自分の夫や子が肌の色だけでどのような人か勝手に判断され、危険視され、殺されるような目に遭ったらどう思うだろうか。私には想像することすら耐えがたい。

日本の中では日本人である限りその点安全かもしれない。でも、欧米へ行ったら、私達は日本人である前にアジア人であり、白人優位社会で差別を受ける対象になりうるのだ。

アメリカ社会に見る黒人差別は、バンクシーがいうように白人の問題のように見えるが、当然白人だけが加害者ではない。アジア人の黒人に対する差別意識もひどいものだ。

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アメリカ社会の変化を表す「人口調査」


次にデモのニュースから見えてくるアメリカの人種問題から少し角度を変えて、アメリカの人種事情とBlack Lives Matterムーブメントの関係について、アメリカの人口調査から見える実態から考えてみたい。

アメリカの人口調査は、1790年から始まった。最初の調査書では人種については白人、自由な他の白人、そして奴隷と、3種類しか掲示されていない。自由な他の白人とは、貧困層にいた白人やメキシコとの国境線に近い地区のラテン系の人々等を指す。ネイティブアメリカンは、別国の人と思われていたため、調査の対象にはされていなかった。

1850年の人口調査書にMulatto(ムラト―)という名の人種が加わった。これは白人と黒人の間に生まれた人達のことだ。調査書にそのような表記がされるということは、1850年にはすでにミックスレイスの人たちが一定数いたということになる。

上記からわかるように、奴隷の時代から、婚姻関係となるには難しかったとしても、白人と黒人のカップルは存在し、また黒人女性の多くが白人の奴隷主等からのレイプや性虐待にさらされていたという事実も記録されている。興味深いことに、アメリカでは1967年まで、法的に人種を超えた結婚が禁止されていた。禁止された時代でも、2つ以上の人種を背景に持つ家庭の数は確実に増えていた。

それが表面化したのは、1960年の人口調査だ。その年から調査書に表記される人種の種類が増え、アイデンティティーを表現する選択枠が増えたのだ。さらに2000年からは、人種枠は当てはまるもの全てにチェックを入れることができるようになった。

文=大藪順子

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