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2020.06.17

世界のCEOから学ぶ 新型コロナ危機を生き抜くシナリオの描き方

混乱の世界経済。求められるマインドは(Unsplash)

ポストコロナの世界では、産業はどのように動向していくのでしょうか。かつてない転換点に立たされるCEOたちが、今後の見通しを語りました。世界経済フォーラムのアジェンダからご紹介します。


・リーダーたちの多くは、自社の危機管理フレームワークが、新型コロナウイルス感染拡大による影響にレジリエントに対応するには不十分で、柔軟性に欠け、時代遅れであったことを認識しています。
・ポストコロナ時代の計画にあたって、CEOたちはシナリオベースのアプローチをとる必要があります。
・このパンデミックは、永久に消えない爪痕を残し、多くの産業に混乱をもたらすでしょう。

新型コロナウイルス大流行からの回復への道のりは、依然として不透明です。多くの制約が課せられる期間が長引き、最初の回復フェーズを経てもビジネスが「通常の状態」に戻ることはないというのが共通した見解です。

このパンデミックは、永久に消えない爪痕を残すでしょう。それは、回復に時間がかかるとみられる世界的な景気後退の深刻さという点においてだけでなく、多くの産業に大きな混乱をもたらし、深刻な課題と共に新しい機会をもたらしているという意味においてもです。

危機が迫り始めたころから、アーサー・D・リトルの経営コンサルタントたちは、25回に及ぶ1時間のバーチャルミーティング、オンライン調査、対話を通じ、同社のCEOのネットワークとの意見交換を始めました。これらのミーティングの中で、CEOたちはみずからの体験を振り返り、将来に向けた洞察を共有しました。

CEOたちを最も驚かせた3つのこと


CEOたちが、各地域および世界全体の経済を破壊した大きな混乱と折り合いをつける中で、まず必要だったことは、日々起こっていることをただ理解することでした。

危機が勢いを増すにつれ、CEOたちはまず何よりも従業員と顧客の安全を第一に考える必要がありました。経営の安定性や資金管理に目を向けられるようになったのはその後でした。

私たちがネットワークを持つCEOたちは、迅速に、かつ決断力を持って行動すること、完全な情報が得られない最悪の事態を想定すること、そして、段階的、部分的な解決策を回避することの重要性を強調しています。彼らは、より迅速な意思決定のための権限委譲の促進の重要性、ほぼすべての時間を(特にスタッフとの)コミュニケーションにあてる必要性、サプライヤーやパートナー、政府、労働組合、コミュニティとの関わりの重要性について話し合いました。

この危機に関して、CEOたちを最も驚かせたのは以下の事実です。

1. さまざまな地域から信頼できる情報、インテリジェンスを得ることの難しさ
2. 一部の危機管理計画では間に合わないほどの危機の速度
3. あらゆる種類の計画において、パートナーエコシステム全体が十分に考慮されていないという実情

多くのCEOが、自社の危機管理フレームワークが不十分で、柔軟性に欠け、時代遅れであることに気づき、将来を考えた時、ビジネスにおけるレジリエンス管理のアプローチは「感知と対応」においてよりダイナミックかつよりスマートでなければならない、という見解を共有しました。
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文=Rick Eagar, Partner Emeritus, Arthur D. Little (ADL) and Chief Editor of Prism; Tom Teixeira, Partner, ADL UK and leader of the Risk Practice; Karim Taga, Managing Partner, ADL; Saverio Caldani, Managing Partner, ADL Italy and Spain

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