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2020.06.17

米国の株高は「株取引アプリとは無関係」、投資銀行が指摘

Getty Images

ここ最近の米国市場における株価上昇をもたらした1つの要因は、「ロビンフッド」などの、手数料無料の株式取引アプリを使う個人投資家が急増し、投機的売買を行っている事だとの見方が浮上していた。しかし、投資銀行のバークレイズはこの憶測を否定した。

バークレイズによると、ロビンフッドの利用者が好む銘柄の大半は、株価を下げているという。

バークレイズは、ロビンフッドの顧客の購入銘柄と株式市場の動きを分析した結果、個人投資家による売買が相場を押し上げているような相関関係は見られないとの結論を導いた。バークレイズのアナリストのRyan Preclawは、今回の調査結果により、「個人投資家たちが株価の上昇を招いているとの憶測が疑わしいことが、示された」と述べている。

ロビンフッドなどの株式取引アプリは手数料がゼロであることで知られ、証券業界では、これらのアプリを用いる新参の個人投資家が相場を押し上げているとの説が、まことしやかに語られてきた。

「2020年3月以降の値動きから、噂とは正反対の事実が確認できた。ロビンフッドの顧客が買っている銘柄は、市場平均よりも低いリターンしかあげられていない。彼らが買う銘柄は、値を下げている」とPreclawは述べた。

バークレイズによると、ロビンフッドの顧客が持ち分を増やした銘柄と、その銘柄のリターンにはネガティブな相関関係が見られたという。

「2つの事柄が同時に起こったからといって、1つ目の事柄がもう1つの事柄の原因とは言えない(この場合、ロビンフッドの顧客が購入を増やした事と、市場全体の値上がりを指す)。ハイリターンな銘柄に個人投資家の買いが集まっていた事は事実だが、リターンが低い銘柄にも個人投資家の買いは集まっていた」とPreclawは述べた。

パンデミックを受けて、3月23日に株式相場は最低レベルに下がり、手数料無料の株取引が可能なロビンフッドやチャールズ・シュワブ、TDアメリのサービスには新規の個人投資家が押し寄せた。

ロビンフッドの新規登録者は今年第1四半期に空前の300万人に達していた。バークレイズは、ロビンフッドの顧客の購入銘柄を追跡するRobintrackのデータを分析したという。

CNBCでアンカーを務めるJim Cramerは先日、ウォール・ストリートの関係者が、ロビンフッドで人気の銘柄を市場が開く前に購入し、個人投資家に高値で転売すれば、簡単に儲けられるかもしれないとツイートした。「それはゲームみたいなものだ」と彼は述べていた。

編集=上田裕資

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