佐藤:同感です。『フォーブス』が現代アーティストに注目しているのは、彼らを企業家だと解釈しているからです。世界に羽ばたくイノベーターである彼らの姿に刺激を受けて励まされる。ただ企業の経営と矛盾するのは、儲けを考えるのではなく、アートの神秘性に回帰して欲しいですね。
今までのコレクターは村上隆さんなど海外で評価された画家を好む傾向がありましたが、「国内で評価されて海外に輸出される」というサイクルに変えたいですね。これからは、現代アート、同時代を一緒に生きているアーティストに対しての興味が深まるのではないか。私自身も仕事で接点があったり、ご縁があったアーティストの作品を買う。その人が有名になると嬉しいです。

吉川:現代アートにおける魅力はまさにこれですね。お互いが共に生きているという面白さです。
今回トークセッションが行われた「kudan house」は、戦争の影響をほとんど受けずに残っている数少ない建築物の一つだ。ルネサンス様式、ゴシック様式、スペイン様式、日本様式が混在したこの館は、時空を超えた不思議な感じを抱く。古い日本の家ならではのノスタルジックな香りがして、子供の頃の思い出が甦る。すでに存在するものを活かしたこの家屋はサステナビリティの体現で、アートの集積でもあり、今回のテーマを語るには最適な舞台だった。
吉川氏のアート(NI-WAが会社として手掛けた作品)は、今回のアートショーに2点出展されている。ゲストアーティストには写真家の篠山紀信氏をはじめ、脇田玲氏、田所淳氏、秋山ブク氏らが参画。90年代から数多くのアーティストを世に送り出してきたギャラリストの吉井仁実氏がディレクションした展示風景は、オンラインの3Dウォークスルーにて公開されている。
ジャンルを超えた展示会の空間はギャラリーでもなく、美術館でもない。一軒家でアートと暮らす醍醐味を味わえる。コロナパンデミックで家の重要性が増した今、それが当たり前である時代が到来している。
展示会3Dウォークスルー
https://art.kudan.house/


