「アイデンティティ」こそキーワード。アフターコロナの時代における経営者のあり方

NI-WA代表の吉川稔氏(右)とフォーブス ジャパン ライフスタイル統括デスク佐藤英樹(左)

東京・九段にある築93年の「旧山口萬吉邸」を改修した「kudan house」は、経営者や起業家が新しいアイデアを生み出す会員制ビジネスサロン。そんなkudan houseで、街づくりにおける各種コンサルティングを手掛けるNI-WAが、「つくらない都市計画」をテーマにしたクローズドアートイベントを開催した。

新型コロナウイルスのパンデミックを受け、今まで「当たり前」であったことが当たり前でなくなり、価値観に変化が生じた昨今。NI-WAは、先の見通しを立てることが難しくなったこれからの時代を生きる上で、「正解」のない問いに向き合い、自ら考え行動していく際に頼りになるものこそ「アート」であると考え、新たな自分を呼び覚ます「美」の感性を磨くひとときとして、満を持して「Online Art Salon」開催に至った。

5月6日〜31日の25日間にわたって行われたイベントは、トークセッションとアート両軸のオンライン鑑賞となっており、建築、ファッション、テクノロジー、カルチャーなどの各界のオピニオンリーダーを招き、対談を実施。また、アートの展示として、自社サイトで展示会3Dウォークスルーを配信している。

5月31日にはNI-WA代表の吉川稔氏とフォーブス ジャパン ライフスタイル統括デスク佐藤英樹がアフターコロナの「経営とアートとサスティナビリティ」ついてトークセッションを行った。長年金融、ファッション、飲食等様々な業種の経営に携わってきた吉川氏と、「経営者のライフスタイル」をテーマとする佐藤が考える、これからの時代における経営者のあり方とは?


経営者のアイデンティティと情熱の可視化


二人はアフターコロナの社会では企業に対する評価には商品やサービスのクオリティだけでなく、アウトプットに並び、経営者や従業員のアイデンティティそのものや、情熱がより一層注目されると予想する。経営者の価値観や情熱がそのまま企業の評価に反映されかねないため、経営者は自分の信念や情熱を従業員に落とし込み、企業として統一性を保つ必要がある。一貫性と信憑性のあるアイデンティティが表に出てこない企業の存続は厳しいものになっていくかもしれない。

吉川稔(以降、吉川):これからはライフスタイルを超えた「アイデンティティ」や本質そのものを伝える事が求められるのではないでしょうか。経営者が成し遂げたい夢は何か? 今日すでに経営者の価値観が事業そのものに反映されていますが、コロナ禍でそれがもっと明確化する。トップマネージメントが持つ情熱や良心の世界が重視され、今までの論理的なビジネスのあり方はもう支持されないと思います。



佐藤英樹(以降、佐藤):アフターコロナで消費者はそこを見るでしょうね。ESGへの投資、サステナビリティなどへの取り組みを通じて、ソーシャルインパクトがあるか。そして本気か。

吉川:ただ単にマーケティングの手段として意図的に利用しようとしているか否かはSNSなどで透けて見えてしまい、メディアにも暴かれます。

佐藤:消費者にとっては会社も従業員の行動も全て一つのものと見えてしまうので、経営者と従業員との間でその企業が求める価値観の共有がより一層求められると思います。
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文=伊東エリーザ

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