無観客試合のマイナスイメージを払拭 新名称は「リモートマッチ」に

会見には川淵三郎会長に加え、10競技12リーグの代表者が集まり、新名称を書いた紙を掲げた

一般社団法人日本トップリーグ連携機構は6月15日、SNS上で募集していた「無観客試合」に変わる新たな名称を、9156件におよぶ応募の中から「リモートマッチ」に決定した。

この名称は、サッカー・Jリーグやラグビー・トップリーグなど10競技12リーグが加盟する日本トップリーグ連携機構に属する各リーグが統一して使用することになる。

「無観客試合」に代わる新たな名称を募集するにあたり、川淵三郎日本トップリーグ連携機構会長は自身のツイッターに6月3日、「コロナ感染による無観客試合は歴史上初めての事でそれ故にマイナスのイメージを払拭するネーミングが必要です」と綴っていた。

「無観客試合」という名称はプロスポーツ界では「懲罰」を意味することが多く、世界のスポーツ界を見渡してもあまり前向きな言葉ではないという。川淵会長は会見でこの点を強調していた。

「問題を起こしたクラブチームへの収入を断つために行なわれる懲罰の意味での『無観客試合』と、今回の事態とは完全に違うことなので、よりポジティブで新型コロナウイルスに打ち勝つような名前が必要だと感じていました。そこで皆さんに1週間ほどの短い間ながら募集を行ったところ、9156件もの応募がいただけたことは大変嬉しく思っております」


9156件におよぶ応募の中から「リモートマッチ」に決定。川淵会長が発表した

例えば、2014年の3月8日にサッカーJリーグの浦和レッドダイヤモンズの一部サポーターが、当日行われた試合において人種・民族差別を想起させる横断幕を掲出した事件があったが、この時クラブ側の責任が問われた浦和には「無観客試合」の処分が下された。今回の「リモートマッチ」への名称変更には、このような意味での「無観客試合」と区別する狙いがある。

「無観客試合」という言葉は世界的にもネガティブな意味を持つことが多いようだ。英語の場合は、観客がスタジアム内で観戦することが許されていない試合を指すための言葉として "behind closed doors" が主に用いられており、フランス語の場合には "à huis clos"という表現が使われているが、いずれの場合も「非公開」という意味であり、前向きなニュアンスで用いられることは少ない。

「リモートマッチ」が採用された上記以外の理由としては、「リモート」という言葉は既に社会に浸透していて誰にでも覚えやすいという点、また物理的には離れていても選手とファンが繋がっていることが含意される点など指摘された。
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文=渡邊雄介

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