企業社会では今も多くのコミュニケーションに電話が用いられており、意思決定の遅延が企業の成長を阻害しているとKvammeは考えた。彼はSeatMeを2013年に約1300万ドル(約14億円)で、レストラン口コミサイトのYelpに売却したが、その当時から内部マネージメントの改善が、次の鉱脈になることに気づいていた。
フォーブスの「30アンダー30」に2015年に選出されたKvammeは、「この世の全ての企業にマネージャーというポジションがある。マネージメント抜きで企業は存続できない」と話す。
その後、Kvammeは2017年にパフォーマンス・マネージメント・プラットフォームの「パスライト(Pathlight)」を共同創業した。同社は先日のシリーズAで、700万ドルを大手ベンチャーキャピタルのクライナー・パーキンスの主導で調達した。
パスライトは、従業員のパフォーマンスをリアルタイムで評価し、各個人の平均的な課題解決時間や顧客満足度を可視化できる。データはセールスフォースやOutreach、Zendeskと連携してビジュアル化することも可能だ。ユーザーはパスライト内でコミュニケーションをとりつつ、タスクを割り当てたり、進捗状況を確認できる。
現在はパスライトのCEOを務めるKvammeは「マネージャーが仕事の進捗を確認したり、会話を行う上で最良のツールを提供していく」と話す。「従業員の側も自らの仕事が、成果をあげられているかを確認し、自分で業務の改善を行える」
パスライトは主に、顧客と向き合うセールス部門やカスタマーサポートでの利用を想定している。同社は今年3月に正式にプロダクトをリリースするまでの3年間を、ステルスモードで運営してきた。同社は財務状況を開示していないが、Kvammeによると、主要顧客にはフィンテック企業のEarninが居るという。
同社はコロナ後に多くの企業がリモートワークを導入したことを受け、需要を拡大させている。オフィス内で従業員とコミュニケーションをとれなくなった企業は、新たなツールで業務管理を行うことを求められている。
Kvammeの古くからの知人で、SeatMeの初期の資金調達を主導したクライナー・パーキンスのIlya Fushmanは、パスライトの魅力はデータとコミュニケーションの統合にあると話す。
「ここ10年でCRMやサポートシステム分野では様々なツールが登場したが、データ管理と効果的なコミュニケーションを統合化したツールは存在しなかった」とFushmanは指摘する。
「この分野で求められるのは、単なるメッセージやEメールではなく、社員らにゴールを示しつつ、必要な指示やガイダンスを提示できるコミュニケーションツールだ」
サンフランシスコに本拠を置くパスライトは現在、14人を雇用している。同社は前回のシードラウンドで300万ドルを、YelpのCEOのJeremy StoppelmanやBoxの共同創業者でCFOのDylan Smithらから調達していた。
パスライトの累計資金調達額は1000万ドル(約10億円)に達している。