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Christopher Furlong/Getty Images

英インペリアル・カレッジ・ロンドンの科学者チームは2020年3月30日、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するためにヨーロッパ各国が実施したロックダウン(都市封鎖)により、3月31日までに5万9000人の命が救われたと推定する研究報告書を発表した。

3月31日時点ではまだ、イタリアが世界最多の死者を出していた。イタリア市民保護局が発表したその日の死者数は837人だった。6月はじめになると、イタリアの厳格なロックダウンはついに実を結び、死者数を示すグラフは平たんなカーブを描き始めた。6月7日の死者数は53人にまで減少している。

ヨーロッパを襲ったパンデミックが、壊滅的かつ悲惨な結果をもたらしたのは確かだ。しかし、各国政府が迅速に対応してソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)戦略を実施したり、学校を閉鎖したり、大規模集会を禁止したりしなかったら、はるかにひどい事態を招いていただろう。インペリアル・カレッジ・ロンドンは6月8日、5月4日までの新たなデータをもとにした研究結果を公開した。そこでは、政府の介入により、ヨーロッパ大陸全体で推定310万人の命が救われたと推定されている。

この研究は、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイス、英国の11カ国で実施された規制による影響を分析したものだ。これら11カ国の死者数は、5月4日までで計12万8928人だった。研究では、死者数と感染サイクルの新しいベイズ推定モデルを使い、政府的介入がなかった場合に亡くなっていたであろう人の数を推定した。

回避された死者数が最多だったのはフランスで、69万人だった。また、イタリアとドイツでは、ロックダウンの実施でそれぞれ63万人と56万人が救われたとされた。

研究で好ましい結果が出たとはいえ、対象11カ国の人口のうち、新型コロナウイルスに感染した人が占める割合はわずか3~4%にすぎないと、科学者チームは警告している。つまり、集団免疫を獲得できるのはまだまだ先の話であり、ロックダウンが緩和されるのに伴って、第2波が訪れる現実的なリスクがあるということだ。

新型コロナウイルスの感染防止を目的とした政府的介入*で死亡が回避された人数の推定
(2020年5月4日まで、合計:310万人)

*ソーシャル・ディスタンシング、学校閉鎖、ロックダウン、大規模集会の禁止などの施策

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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