米国の景気回復を阻む3つの不安要素

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6月5日に発表された米雇用統計によれば、5月の米国の就業者数は、ほとんどの専門家が予想していた900万人減ではなく、前月から250万人増加した。だが、その明るい数字の一方で、経済はまだ危機を脱したわけではない。以下では、米国の景気回復を阻む可能性がある要素を見ていこう。

第一の不安要素は、新型コロナウイルスの新規感染だ。全米企業エコノミスト協会(NABE)が6月に行った予測調査では、回答者の87%が、新型コロナウイルス感染の第2波が2020年の経済における最大のリスクになると答えた。

新型コロナウイルスの第2波により、企業が再び活動停止を余儀なくされ、すでに弱っている経済にさらなる負荷がかかるおそれがある。米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長は6月5日、米国は「必ずしも」第2波に襲われると決まったわけではないものの、秋と冬には新規感染者が増加するだろうと述べた。

第二の不安要素は、政府職員の解雇だ。5月の雇用統計によると、小売、サービス、建設といった分野の雇用が回復し始めている一方で、政府職員はまだ解雇され続けている。5月の1か月で、50万人を超える州や地方自治体の雇用が失われたと指摘されている。

新型コロナウイルスの影響で、州政府は全般的に深刻な予算不足に直面している。米国最大の雇用主である州は、今後もさらなる困難に見舞われる可能性がある。

第三の要素は、景気刺激策の不確実性だ。米議会予算局(CBO)の最新予測では、コロナウイルス支援・救済・経済保障法(CARES法)に基づく「失業保険給付金への週600ドルの上乗せ」を2021年まで延長すれば、働いて得る賃金よりも失業保険給付金のほうが高くなる人の勤労意欲が低下し、それが生産高と雇用の両方を押し下げる可能性があるとされている。

期限切れを迎える数々の給付金(一部の立ち退きに関する猶予期間も含む)への対応をめぐっては、議会の意見が割れている。民主党が即時救済措置へのさらなる支出を求めているのに対し、共和党は、現在の刺激策が経済にどんな影響を与えるか、その推移を見守るべきだと主張している。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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