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(C) Lion

世界各国が経済活動の再開を進める中、サイバー犯罪者らはパンデミック以降の混乱に乗じ、企業や政府機関をターゲットに攻撃を行っている。

オーストラリア最大のビール醸造メーカーとして知られるライオン(LION)は6月9日、サイバー攻撃に見舞われ、製造や受注システムに混乱が生じたと発表した。日本のキリンホールディングスの子会社であるライオンは、この攻撃によりオーストラリア事業とニュージーランド事業で影響を被っている。

オーストラリアでは、レストランやパブの営業が再開したばかりで、今回の攻撃は最悪のタイミングで起こったといえる。

他の大規模なビール醸造所と同じく、ライオンの製造工程の大半はコンピュータ化されている。サイバー攻撃によってランサムウェアが送り込まれたことが確認されると、全てのシステムはオフライン状態にされた。

ライオンはパンデミック後も、製造を続けていたが、ビール愛好家たちが久々にパブを訪れ始めたタイミングで、サイバー攻撃を受けた。「当社は今後の需要拡大に備え、増産を開始していた。攻撃によって増産計画が遅延することになった」と同社は声明で述べた。

その後の調査によって、復旧プランにはある程度の進歩がみられるという。しかし、オペレーションが完全に復旧するまで、どの程度の時間が必要になるかはまだ定かではない。ライオンは現在、マニュアル作業で注文の処理や配送プロセスを進めている。

しかし、製造工程には遅延が生じたものの、現時点では個人情報や財務データへのアクセスは確認されていない。これは、他のランサムウェアを用いた攻撃と比較すると、不幸中の幸いと言えるだろう。ハッカーらが、センシティブなデータへのアクセス権限を乗っ取り、巨額の身代金を要求するような事例も相次いでいるからだ。

しかし、コロナ後の売上回復を目指していた同社にとって、今回のサイバー攻撃は大きな痛手となった。

「攻撃は当社にとって最悪のタイミングで起きた。コロナ後の回復の初期段階にある、当社の顧客のパブやクラブのオーナーらにとっても、非常に残念な事態になってしまった」と、ライオンは声明で述べた。

ここ最近、ハッカーによる攻撃の被害を受けたのは、ライオンのような大手企業のみではない。パンデミックの初期段階から、サイバー攻撃の発生回数は400%以上の伸びとなっている。個人から学術機関、医療ケアを提供する企業まで、あらゆるジャンルの組織が、サイバー犯罪者らの標的になっている。

編集=上田裕資

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