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2020.06.18

酒類の世界的売り上げ 2024年まで回復しないとの予測も

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モルソン・クアーズは先月、「米国ではオフプレミス経路でのSTRが高い傾向が続いているが、こうしたトレンドによりオンプレミス(買った場所で消費する小売)の売り上げが事実上なくなったことが完全に相殺されるわけではない」と述べ、「社会的隔離の実践が続く間、米国ではオンプレミスでのマイナスな傾向が続くことを予想している。経路の移行によるオフプレミスの総販売量がどれほど増えたとしても、オンプレミスの分野で経験される損失を相殺するのには十分でないだろう」と続けた。

モルソン・クアーズやその他のアルコール飲料製造業者が苦しむオンプレミスでの損失が、IWSRの暗い見通しにつながっているのは間違いない。小売業者の大部分が、いつ再びフル稼働できるようになるかについて確信が持てないでいることを考えればなおさらだ。

それでもIWSRは、いくつか明るい見通しも明らかにしている。

ビールは、ワインや蒸留酒よりも早く回復することが見込まれていて、ノンアルコールのビールは2024年までに、8.1%の複合年間成長率(CAGR)で成長すると見込まれている。

その一方、米国では2019年に25年ぶりに低下したワインの売り上げも、より緩やかな速度で回復することが予測されている。ただし、スパークリングワイン製品は、消費者が「こうした商品を一年中消費するようになっている」ため、より良い結果になると考えられている。

IWSRはまた、ウイスキーやジンが他の蒸留酒と比べて早い段階で新型コロナウイルス感染症流行前のレベルに戻ると考えている。しかし、米国で昨年2.3%増加したウオッカの売り上げは、2024年以降まで回復しないと予想されている。

それでは、アルコール飲料製造企業はどうすればよいのだろう?

IWSRは、電子商取引を強化することが重要だと示唆している。同社が16の重要市場を調査した結果、オンラインでの売り上げは2019年、市場の売り上げ全体よりも急速な成長を遂げたことが判明した。

市場全体の伸び率がわずか1%だったのに対し、ビールのインターネット上での売り上げは14%伸びた。一方で、ネット上でのワインの売り上げは、市場全体が1%減ったのに比べて18%伸びた。

電子商取引のアルコール飲料の売り上げは現在、世界中で約210億ドル(約2兆3000億円)を占めている。IWSRはこの経路が、2024年までに倍以上の約455億ドル(約4兆9000億円)になると予測している。

ミークは「イノベーションとプレミアム化、電子商取引など、市場への新たな経路は全てが業界の復活と未来の成長に寄与する要素だ」と述べた。

翻訳・編集=出田静

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