しかし、旅行の減少や店舗の閉鎖の長期的な影響により、世界のアルコール飲料事業が5年ほど後退する可能性があることを示す新たな報告書が発表された。
国際的なアルコール飲料のトレンドを分析する市場調査会社のIWSRは、「広い範囲にわたる旅行の制約」と「バーやレストランが世界中でほぼ完全に閉鎖されている」状況により「2桁台の停滞」を予測している。
IWSRのマーク・ミーク最高経営責任者(CEO)は「現在の新型コロナウイルス感染症の全体的な影響はまだ評価中だが、パンデミックにより、世界の飲料業界がこれまで経験してきた何よりも、深くて長期にわたる余波が残るのは非常に明確だ」と述べ、「2008年の金融危機に続く低迷でさえ、現在のものほど深刻ではなかった」とした。
ミークは、世界のアルコール飲料の消費が比較的横ばい(0.1%の増加)にとどまった2019年が「飲料業界にとっておそらく最後の正常な年だっただろう」と述べた。
同社は先日発表された報告書で、同社の調査からは世界のアルコール飲料の消費量が新型コロナウイルス感染症流行前の水準に戻るまでには2024年までかかることが示唆されていると述べた。またIWSRは、米国や英国での回復にはさらに長期間かかることも示唆している。
多くの主要な北米アルコール飲料企業は、米国全土にわたる外出禁止令と、バーやレストランの強制的な閉鎖による影響を受けてきた。
米国で2番目に大きなビール会社のモルソン・クアーズ・ブリューイング(TAP)を見てみよう。同社は最近、第1四半期の総売上高が8.7%低下したと報じられた。同社のガビン・ハタスリーCEOは、この結果は「新型コロナウイルスによる非常に大きな影響を受けた」と述べている。
ハタスリーは「他のあらゆる企業と同様、打撃の全容や、私たちの新たな日常が今後どのようなものになるかはまだ明らかではない。しかしコロナウイルスは、これまでもこれからも、私たちの事業に深刻な影響を与えるだろう」と述べた。
モルソン・クアーズによると、多くのビール会社が3月に経験した食料品置き場補充のための買い物による初期の売り上げ増加は、4月は続かなかった。同社の小売業者向け売り上げ(STR)は、米国で14%低下した。