「人種フィルター」を持つ出会い系アプリ 差別への抗議で再考も

Photo by Leon Neal/Getty Images

同性愛者など性的少数派の人に向けた出会い系アプリ「グラインダー(Grindr)」で、これまで非常に広い範囲から冷笑され、明白に批判されることが多かった機能の一つは、相手の人種によって自分に合った人をえり分けるものだ。

米国では、人種差別を巡る抗議活動が広がり、人種に関する痛ましい議論が行われる中、グラインダーは次のアップデートからこの機能を廃止すると発表した。同社は先日、ツイッター上でこのことを発表し「私たちは沈黙を守らない。ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大事だ)」と述べた。多くの人はこのメッセージを、空気が読めていないものと考えた。

しかし、このような機能を持つアプリはグラインダーだけではない。世界で数千万人のユーザーをそれぞれ抱える2つの大きな出会い系アプリ、オーケーキューピッド(OkCupid)とヒンジ(Hinge)も同じようなフィルターを持っている。両社は、このフィルターを残すことを表明している。

オーケーキューピッドでは、ユーザーはアジア系、ヒスパニック/ラテン系、白人、黒人など9つの人種カテゴリーにより、メッセージを送る相手を探したりフィルターをかけたりすることができる。ヒンジもそれと同様で、ユーザーは設定メニューの中で人種が交際を決める重要な要因かどうかを示すことで、フィードに表示される人を決められるようになっている。

例えば、白人だけを表示させたいヒンジのユーザーは、「白人/コーカサス」を選択し、これを交際を決める重要な要因として設定する。

オーケーキューピッドやヒンジの広報担当者らは、このフィルターを維持する理由として同じ要因を挙げた。それは、自分と同じようなユーザーを探すため、少数派のユーザーからフィルターを要望されたことだ。

オーケーキューピッドでグローバルコミュニケーション部長を務めるマイケル・ケーは「(人種に関するフィルターの)既定の設定は『どんな選択肢でもよい』となっており、当社アプリのユーザーの大半は好みを設定しない」と述べた。「しかしユーザーのフィードバックから、これは黒人系ユーザーにとって特に価値あるものだということが分かった。当社のユーザーの役に立つものは、それがたとえわずか1人のためだったとしても、オーケーキューピッドのコミュニティー全体の利益となる」

他の人気出会い系アプリのバンブル(Bumble)とティンダー(Tinder)では、ユーザーは人種によって候補をえり分けることができない。しかし、それでもあまり違いはないかもしれない。
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翻訳・編集=出田静

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