イギリスの高等教育専門雑誌「The Times Higher Education(略称THE)」が今年も、“世界で最も高評価な大学リスト”を発表した。今年もトップはハーバード大学だが、英国のケンブリッジとオックスフォードがMIT(マサチューセッツ工科大学)やスタンフォードを押しのけ、2位と3位を獲得した。
THEは11年間に渡り「ワールド・ユニバーシティー・ランキング」をプロデュースしてきた。これは、大学に授与された表彰の数や、博士号をもつ教員の割合まで、13種類の評価指標を元に評価が決められるもの。
しかし、このランキングの編集者らは「純粋に外部からの評価のみで順位を出すことにも意義がある」と、5年前に気づいたという。そこでTHEは100カ国以上の大学の主任教授らからアンケートを取ることにした。質問内容はただ一つ、「自分の専門分野において、優れた学部をもつと思われる大学を10校まで挙げる」というもの。得られたデータを、社会科学、エンジニアリング、テクノロジー、物理科学、医学と生命科学、芸術および人文の6分野に分け、それぞれの得票数を集計した。
編集者は「これは個人の意見に基づく主観的データですが、非常に信頼のおける人々の意見です」と説明する。
評判がなぜそんなに重要なのだろうか? その答はこうだ。
「評判は、高等教育の値段を決める通貨のようなものです。それは、学者や研究者が仕事や研究を一緒にしたい人々や、次に転職したい職場を決める物差しになるのです。それは学生にとっても同様で、進学校を選ぶときの一番の決め手は、実は大学の評判だった、ということがとても多いのです」
大学のランキングに関してはフォーブスが独自に算出したものも存在する。しかし、フォーブスのランキングはアメリカの大学に限られており、その評定はデータ調査会社のペイスケールによって算出された卒業生の給与や、RateMyProfessor.comにおける大学教員たちのコメント、紳士録に載っている卒業生の人数などによって決まる。
一方で、THEの評判ランキングは、学者と研究者の投票によるものなので、他のランキングとは重みが違う。今回のランキングは、勤続年数が平均15年の主任教員10,500人から集めた回答を基にしている。
トップを占めるのはアメリカの大学で、上位50校のうち26校、100校のうち43校が該当する。公立校の中には、財政カットによって順位を落としたところもある。UCLAはトップ10から外れて14位、ミシガン大学は15位から19位に落ちた。
日本からは昨年までランク入りしていた大阪大学、東京工業大学、東北大学の3校がリストから消えた。東京大学は相変わらずアジアのトップで、12位につけている。中国では、清華大学と北京大学の2校が順位を上げている。
以下が最も評価の高い大学トップ21校だ。
1位 ハーバード大学
2位 ケンブリッジ大学
3位 オックスフォード大学
4位 マサチューセッツ工科大学
5位 スタンフォード大学
6位 カリフォルニア大学バークレー校
7位 プリンストン大学
8位 イェール大学
9位 カリフォルニア工科大学
10位 コロンビア大学
11位 シカゴ大学
12位 東京大学
13位 カリフォルニア大学ロサンゼルス校
14位 インペリアル・カレッジ・ロンドン
15位 スイス連邦工科大学チューリッヒ校
16位 トロント大学
17位 ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン
18位 ミシガン大学
19位 ジョンズ・ホプキンス大学
20位 コーネル大学
20位 ニューヨーク大学
※20位の2校はタイ(同率)
全100校のリストはこちらを参照のこと。