IBMは6月8日、警察への顔認識テクノロジーの提供中止を発表したが、アマゾンも10日、顔認識技術 「レコグニション」の警察による使用を1年間停止すると発表した。そして、マイクロソフトも11日、同様の措置に乗り出した。
マイクロソフトのプレジデントのブラッド・スミスは11日のワシントン・ポストのイベントで、警察への顔認識テクノロジーの販売を、適切な法律が整備されるまでの間、停止すると宣言した。
「当社は、このテクノロジーを規制するための、人権への配慮に則った適切な法律が制定されるまでの間、顔認識技術の米国の警察への販売を停止する。マイクロソフトはこのテクノロジーが活用される際に、人権が守られていることが必要だと考える」と、スミスは話した。
マイクロソフトは警察に顔認識技術を提供しているとして、人権団体のACLUや電子フロンティア財団(EFF)から非難されていた。ただし、同社が警察への監視テクノロジーの提供で、どれほどの収益を得ていたのかは、開示されていない。
スミスは、マイクロソフトが警察に顔認識テクノロジーを販売した事実は無いと述べている。彼は、同社が今後、この技術の乱用を防ぐためのレビュープロセスを改善していくとも述べた。
米国の大手テック企業らは相次いで、顔認識技術の警察への提供の中止を宣言したが、彼らがどれほどの規模でオペレーションを縮小するのかも、明確になっていない。例としてあげると、アマゾン傘下のスマート監視カメラ企業のAmazon Ringは、警察への販売を中止するとは述べていない。
さらに、米国の合衆国移民・関税執行局(ICE)や合衆国税関・国境警備局(CBP)は、顔認識技術を用いて、警察による抗議活動の監視を支援しているが、彼らのオペレーションが中止の対象に含まれるのかどうかも、現時点は不明だ。
また、別のグループは米国に限らず全ての国において、顔認識技術の利用がただちに禁止されるべきだと述べている。人権団体のアムネスティは、顔認識テクノロジーを用いた集団監視システムが、「警察による人権侵害を悪化させ、平和的な抗議活動やプライバシーを脅かす懸念がある」として、違法化されるべきだと述べている。