BTSが1億円寄付。K-POP快進撃が人種問題で果たす役割とは?

第62回グラミー賞にパフォーマーとして参加したBTS(Getty Images)

黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に首を押さえつけられて死亡した事件を受け、世界各地で広がりを見せている抗議運動「Black Lives Matter」であるが、これを支援するために、韓国の人気グループ防弾少年団(BTS)と所属事務所のBig Hit Entertainmentが、100万ドル(約1億1000万円)を寄付したことが6月7日に発表された。

BTSは6月4日には、Black Lives Matterとの連帯を表明するメッセージを公式SNSに投稿。「私たちは人種差別に立ち向かいます。私たちは暴力を非難します。あなたも私も皆、尊重される権利があります。私たちは団結します。#BlackLivesMatter」と英語と韓国語で綴られていた。

また今回の抗議活動では、世界中にいるK-POPファンたちによる#Kpopstansというタグも話題となった。これは#BlackLivesMatterに対抗して出てきた#WhiteLivesMattersというタグを消すためのソーシャルメディア上の戦略だ。人種差別主義者に対抗するため、自分の好きなK-POPアーティストの動画やGIFをこのハッシュタグに被せて投稿し、タイムライン上をK-POPの画像で溢れさせ、#WhiteLivesMattersに関するツイートを埋もれさせた。

アメリカの大手メディアも次々に伝えているように、BlackLivesMatterにおけるK-POPの存在感は大きくなっている。BTS以外にも韓国系アメリカ人シンガーのJay Parkや、同じく韓国系アメリカ人のラッパーのTiger JKなども寄付を行い、BTSのファンダムもアーティストと同額の100万ドルを寄付している。

このようなK-POPとBlackLivesMatterとの連帯は歴史的にみても非常に重要なものになるだろう。なぜなら、アメリカにおいて韓国系とアフリカ系は常に友好な関係を保ってきたわけではないからだ。むしろ今回と同様、警察による黒人への暴力事件が一つの引き金となって起きた1992年のロサンゼルス暴動の際には、この2つのコミュ二ティは非常に深刻な人種的不和を抱えていたのだった。

90年代にIce Cubeが韓国系アメリカ人をラップで攻撃したワケ


「『黒い拳』に敬意を払え さもなきゃお前の店を焼き払って灰にしてやるぜ そしてお前らともさよならだ お前らはゲットーを韓国人街にすることなどできない」



これはギャングスタ・ラップグループN.W.Aの元メンバーとしても知られるIce Cubeが1991年に発表したアルバム『Death Certificate』に収録された「Black Korea」の歌詞の一部だ。

1991年といえばロサンゼルス暴動のきっかけとなったロドニー・キング事件がおこった年でもある。スピード違反を犯した黒人男性ロドニー・キングが、白人警官たちから殴る蹴るの理不尽な暴力を加えられ、その様子が撮影された映像が流出したことで世間は騒然となった。
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文=渡邊雄介

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