そうした中、非常に時宜を得た報告書が、中道派の米シンクタンク、サード・ウェイ(Third Way)から発表された。同報告書は大学などの高等教育の価値に関するもので、全ての大学や教育機関が同じではないことが明確に示された。むしろ、一部の教育機関は時間と金の無駄となる。
報告書は、各学校で学生が実際に払う金額と、修了によって稼げるようになる金額を比較し、平均的な「投資回収率」を分析した。同シンクタンクはこれをPEP(価格対収入プレミアム)と名付け、学生が各校への投資を回収するまでにかかる時間も算出した。
その結果、3分の2近くの米教育機関で、卒業から5年以内に教育費を回収できることが示された。これは素晴らしいことで、大学進学のメリットを肯定するものだ。
しかし、3分の2という数字の裏には米教育界の隠れた汚点がある。それは、学生の時間と才能、金をブラックホールのように吸い取る営利目的の大学だ。こうした大学は、民間の企業が所有・経営し、投資家が出資している。卒業生が5年以内に教育費を取り戻せる収入増加を達成する学校の割合は、州立大学では86%だが、営利目的の学校ではわずか24%だった。
卒業から10年以内に教育費を回収できる収入増加があった学校の割合は、州立のコミュニティーカレッジや大学では94%、非営利の私立学校では86%だが、営利目的の学校ではわずか36%だった。さらに、営利目的の大学の過半数(51%)では、卒業しても投資を一切回収できなかった。
例えば、フロリダ州マイアミの営利教育機関であるニュー・プロフェッションズ・テクニカル・インスティテュート(New Professions Technical Institute)では、学生が学費を全て取り戻すために必要な収入増加を得るためにかかる期間は409年との計算結果となった。
全ての非営利学校や公立学校で投資が回収できるわけではないが、サード・ウェイによると投資回収が不能な学校の77%が営利目的だった。営利目的の大学が教育の質の問題を抱えていることは、これまでもある程度知られてきた。だが、その半分以上で投資が回収できないというデータは非常に衝撃的だ。