経済・社会

2020.06.13 06:00

新型コロナ危機が招く政情不安、世界中に広がる可能性も


高所得国では、外出規制などが緩和されれば経済活動がすぐにも回復する可能性があることから、政府はすでに支援策に多額を投じている。こうした国では減少する税収と増加する歳出の差が拡大し、債務残高が増加する。これはいずれ、国民には不人気な緊縮政策につながるだろう。

こうした国々は、より貧しい他国への援助を縮小する可能性がある。報告書は、裕福な国が国内のニーズへの対応に集中するようになることから、対外援助と国際平和維持活動向けの予算は削減される可能性が高いと指摘している。アフガニスタンやブルンジ、リベリア、南スーダンなどの脆弱な、紛争の影響を受けている国々は打撃を受けることになるだろう。

信用格付けの評価が低い国の一部は、経済活動の再開を支援するために必要な資金を十分に借り入れられないかもしれない。既存の債務の返済も難しくなり、レバノンが今年3月にそうなったように、債務不履行に陥る国がほかにも出てくるかもしれない。

主な産油国は今年、原油価格の急落による打撃を受けている。国内に治安状況の改善や雇用創出という差し迫った問題を抱えるイラクやイラン、サウジアラビアなどは、さらに強い圧力にさらされるようになるだろう。パンデミックと弱含みの原油市場は、ベネズエラにもより深刻な治安と人道危機の問題を突き付けている。

キレリアは、紛争や環境問題による圧力、社会経済面での対立に関して過去10年にあった基本的な緊張状態は、今後も引き続き残るとみている。そして、パンデミックが経済に及ぼす影響が招く暴動の増加は、こうした緊張をさらに高める可能性があると予想している。

編集=木内涼子

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