ビジネス

2020.06.12 15:30

中国のストリーミングiQiyiがネットフリックス幹部を引き抜き

iQiyi(愛奇芸)CEOのYu Gong(Spencer Platt/Getty Images)

iQiyi(愛奇芸)CEOのYu Gong(Spencer Platt/Getty Images)

中国の動画ストリーミング企業「iQiyi(愛奇芸)」が6月10日、ネットフリックスでバイスプレジデントを務めたKuek Yu-Chuangを採用し、国際ビジネス部門の統括を任せるとアナウンスした。

Kuekは2016年にネットフリックスに入社し、アジア太平洋地域のマネージングディレクターを務めてきた。

「中国版ネットフリックス」と呼ばれるiQiyiの海外事業部門のプレジデントを務めるYang Xianghuaは「Kuekを当社に迎え入れ、グローバル進出を加速させていく。iQiyiはアジアにルーツを持つ企業だが海外進出を熱望し、それを実現しようとしている」と述べた。

Kuekは今後、同社のグローバル進出に向けた戦略の立案を担当し、マーケティングやビジネス開発及び、海外部門の広報を統括することになる。

Kuekはかつてシンガポール政府に勤務し、外交官や貿易関連の交渉及び政策立案を手がけてきたと、iQiyiのプレスリリースには記載されている。Kuekは北京大学を卒業後に、ハーバード大学とMBAの名門校として知られるINSEAD(インシアード)で学んでいた。

フォーブスの昨年6月の記事では、iQiyiが中国のオンラインビデオ市場で「テンセントビデオ(Tencent Video)」やアリババ傘下の「Youku Tudou(優酷土豆)」と熾烈な競争を繰り広げており、コンテンツコストの上昇などにより損失が膨らんでいると報じられた。

iQiyiの2020年第1四半期の売上は11億ドル(約1180億円)だったが、4億600万ドルの損失を計上していた。同社のストリーミングサービスは、今年の3月末時点で1億1890万人の利用者を抱え、前年比で約23%利用者を増やしていた。

中国企業はここ数年、海外進出に意欲を燃やしており、エンターテイメント分野では特にアジア地域での存在感を高めようとしている。一方で米国のピュー研究所のデータで、米国における中国の印象は現在、過去最低レベルに落ち込んでいる。

iQiyiの主な出資元としては、検索エンジン企業のバイドゥやスマートフォンメーカーのシャオミ、投資ファンドの「ヒルハウス・キャピタル」などがあげられる。iQiyiの会長はバイドゥの会長でもあるロビン・リーが務めている。また、取締役には中国最大のオンライン旅行予約サイトのTrip.comのCEOのJane Sunらが居る。

編集=上田裕資

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