11月10日
「早く29日(=1審の判決日)がきてほしいけど、無罪をかちとれなかったらと思うと不安になりますが、不安になっても仕方ない。大津で無罪をかちとれなかったら大阪(=高裁)に行けばいいと思っています」
11月17日
「私はTさんを殺していないのでそこのところを裁判官が分かってもらいたいです」
11月26日
「私は絶対Tさんを殺ろしていません。このことはなにがあってもまげません」「Tさんを殺ろしていないとどうどうと言うつもりです」
11月30日
「29日の裁判(=一審判決)で無罪を証明できずごめんなさい」
「はやくお父さん、お母さんのもとへ帰れるように」
これらの手紙からは、無実の訴えが裁判所に届かない落胆、両親への申し訳ない気持ち。逆転無罪を期した2006年に大阪高裁で控訴棄却。翌年5月、いちるの望みを託した最高裁で上告棄却、さらなる絶望の淵におかれた西山さんの気持ちがストレートに伝わってきた。2020年3月に撮影した西山美香さん。いまもふとした時に刑務所での生活を思い出すという 撮影=Christian Tartarello
平成19 (2007) 年
3月?日
「私も最後の最後まであきらめずに戦いたいけど、もう上告までいったらこの先戦えることはないと思います。私の出来ることは、早くお父さん、お母さんのもとへ帰れるように、まじめにつとめることだと思います」「親せきの人のことを考えると無罪をしょうめい(証明)したいですが、もう無理だと思います」「私は人との接し方がわからないし、自分に自信がありません。すぐに涙がでるし…独居房に入りたいと上の人に言いましたが、それは無理だと言われました。今までの部屋でも人間関係はしんどいです。自分がそう思ってなくても相手に不快感をあたえている時があるみたいです。お母さん今まで私を育ててくれてありがとう。でも私は産まれてこなかった方がいいと思います」
5月11日
「A刑事に好意をもち、きにいってもらおうと必死でした。それがダメでした」
5月26日
「お母さん、23日12:00に上告審の結果がでてショックでいっぱいでしたが、お父さんが面会にきてくれて少しは元気がでました」
10月21日
「刑務所にきてもうすぐ1カ月がたとうとしています」「でも私は、なんでこんな人間として最低なところに入らなあかんのや!なにもしていないのに…と毎日自分自身とかっとう(葛藤)していますが、仕方ないとあきらめるしかありません」「ここの先生はあきらめて刑を務めるように言われましたが、私は自分が無実でなにもやっていないことをまげようとは思っていません」
11月2日
「私さえAに好意をもたず自白しなければこんなことにはならなかったと思います」