この壁画は2015年にパリで発生した同時多発テロの犠牲者を追悼する目的で、バンクシーが描いたものとみられるが、2019年に覆面姿の男たちが切断し、持ち去っていた。
壁画は6月9日に、ローマの北東約145キロの距離にあるアブルッツォ州テラモの農家で発見された。ベールをかぶった悲しい表情の少女を描いたこの壁画は、2015年11月に、イスラム過激派によって約90人が射殺されたバタクラン劇場の非常口のドアに描かれていた。
その後、この作品は2019年1月の夜に、覆面姿の男たちによってドアごと切り取られ、トラックで運び去られていた。報道によると、フランスとイタリアの警察の合同チームが1年以上もの間、壁画の行方を追っていたという。
犯人たちの身元や、壁画が隠されていた農家の詳細については、現時点で明らかになっていない。しかし、6月11日の記者会見で何らかの情報が公開される予定という。
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覆面アーティストのバンクシーは、世界各地でゲリラ的に創作活動を行っている。彼はイスラエルに占領されたパレスチナのヨルダン川西岸や、大型ハリケーン「カトリーナ」に襲われた米国のニューオリンズでも作品を残している。
バンクシーは2018年6月にパリ周辺で複数の壁画を残している。彼がパリを訪れたのは1968年5月に発生した、学生たちの運動「五月革命」の50周年を祝うためだったと考えられている。
バンクシーは世界で最も有名なストリートアーティストであり、彼の作品にはオークションで100万ドル以上もの値がつけられている。
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