スマホ向けアプリの開発に注力するアドビ
アドビと言えば、IllustratorやPhotoshopに代表されるPC作業に最適化されたプロフェッショナル向けのクリエイティブツールを長年に渡り提供する老舗のソフトウェアメーカーだ。そのアドビが近年ではスマホで手軽に使えるアプリの開発を加速させている。
特に写真や動画の撮影・編集用アプリは同社が最も力を入れる分野だ。その理由は近年増え続ける、スマホを中心にフォトコミュニケーションを楽しむユーザーのニーズをいち早く捉えるためであることは明白だ。
2019年はアップルが初のトリプルレンズカメラを搭載するiPhone 11シリーズを発売した。サムスンにLG、ファーウェイ、OPPOなど韓国・中国のライバルもiPhoneに勝るとも劣らないカメラ機能付きスマホで包囲網を張る。日本のメーカーにもデジタル一眼の開発資産を惜しみなく投入するソニーの「Xperia 1 II」や、8K動画撮影に対応したシャープの「AQUOS R5G」など有力な機種がある。
ソニーのXperia 1 IIは老舗レンズメーカーのカール・ツァイスが設計したレンズを搭載。デジタルカメラαシリーズの技術も惜しみなく投入した本格派カメラ機能を強みとしている。
もはやコンパクトデジタルカメラの性能を凌ぐほどの実力を備える、スマホのカメラで撮った高品位な動画や写真をそのままInstagramやFacebookなどソーシャルメディアにアップロード・共有してコミュニケーションを楽しむ文化は世界中に広まった。
そして次は、PCを介することなくスマホで撮った写真に直接オリジナルの“映える加工”を施して、SNSに直接アップできるソフトウェアに次の競争軸が移りつつあるようだ。
Photoshop Cameraに触れてみるとアドビの本気度の高さが伝わってくる。
Photoshop CameraでSNS映えする写真が簡単に撮れる
Photoshop Cameraとは、アドビが独自に開発するAIエンジン「Adobe Sensei」によるマシンラーニングの技術を活用しながら、スマホで撮影した写真に素速く画像編集ソフトのPhotoshopで加工を施したような、美しくアーティスティックな静止画像が記録できるアプリだ。
アドビのクリエイティブツールはその多彩な機能と操作が覚えられる意識の高いクリエイターにしか使いこなせない難しいものと思われがちだが、Photoshop Cameraは驚くほどに簡単で馴染みやすい。iOS版アプリにハンズオンしながら概略を紹介しよう。