「Photoshop Camera」から読み解く、アドビがスマホアプリを強化する理由

アドビがスマートフォンやタブレット向けのカメラアプリとして開発した「Adobe Photoshop Camera」がリリースされた。


一般ユーザーが「レンズクリエーター」として自身でAdobe Photoshopを使って作成したオリジナルのレンズを公開して、アプリのライブラリから配信できる仕組みもある。ただ現在はエントリーが英語でしかできないうえ、その後に審査も待ち受けているためやや敷居が高い。LINEのスタンプのように、誰もが気軽に参加してオリジナルのスタンプが作れるコミュニティプラットフォームのようになれば良いと思う。作成したレンズを自分ひとりで、または友だち・家族とだけで使いたいというニーズもきっとあるだろう。

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一般のユーザーが製作したレンズを公開することも可能だが、間に審査が入ったり、英語でのコミュニケーションが必要なことも含めて少し敷居が高い。

Photoshop Cameraのユーザーがレンズをより身近なものに感じながら、これを作ってシェアしながら参加意識を持って楽しめるようになれば、アドビのアプリを核にスマホ写真を「リメイクして遊ぶカルチャー」が育まれるかもしれない。

アドビのスマホアプリどうしの連携にも期待


Photoshop Cameraは静止画のみ扱えるアプリだ。この仕様はシンプルで良いと思うので、アドビの他のスマホ向けアプリと連携しながら“できること”を拡大して、大きなプラットフォームに発展して欲しいと思う。

現在はAdobe Photoshop Express、Adobe Photoshop Lightroomのモバイル版と連携できるようだが、おそらくPhotoshop Camera単体で手軽に楽しめること以上に手の込んだ画像編集をしたいというユーザーのニーズが高まることはないように思う。

むしろモバイル・ネイティブな動画製作用アプリ「Adobe Premiere Rush」にPhotoshop Cameraでタイムラプス撮影したコマ撮り静止画を読み込めば、ティム・バートン監督風の短いアニメーションムービーが簡単に作れる機能などが実現できれば、ぜひ日ごろから活用してみたくなる。

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アドビがモバイル・ネイティブなビデオ編集アプリとして開発した「Adobe Premiere Rush」に、Photoshop Cameraで撮影した静止画を読み込んで、Adobe Senseiが雰囲気のある動画に作り替えてくれる機能などが実現できれば面白くなりそうだ。

無料でユーザーに提供できるPhotoshop Cameraアプリを、今後アドビがモバイルデバイスのハードメーカーとタイアップして、新しいスマホにバンドルして活路を開くビジネスモデルもあると思う。遊び甲斐のあるアプリと出会える機会が増えることは、スマホを購入したユーザーにとってもありがたい。

勢いに乗る中国のスマホメーカーや、カメラ機能に力を入れるシャープのAQUOSシリーズとアドビが組めれば、Photoshop Cameraの認知も一気に拡大しそうだ。

文=山本敦

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