リファラル採用で失敗しないために。導入のステップと事例

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リファラル採用は、昨今導入する企業が増え、注目が集まる採用施策の一つだ。

今更聞けないその定義や、メリット・デメリット、成功のポイントを提示しながら、あなたの会社でリファラル採用を機能させるためのヒントを紹介する。

リファラル採用の定義


「リファラル採用」とは、自社の役職員等の内部関係者から直接人材の紹介や推薦などを経て実施する採用活動のこと。欧米企業などで先行している制度だったが、昨今はベンチャー企業を中心に日本国内でもスタートアップ企業を中心に導入が進んでいる。

ちなみに「リファラル(referral)」とは、紹介や推薦といった意味の英語からきている。

リファラル採用が注目される背景


リファラル採用が注目される背景として、特に日本においては、(1)ミスマッチの低減と(2)採用コストの削減の2点が大きく挙げられる。

1. ミスマッチの低減


昨今、日本において深刻な労働力不足が叫ばれているが、こうした背景と終身雇用の崩壊など、環境の変化によって売り手市場が続いている。企業からは「せっかく苦労して採用した人材がすぐに辞めてしまう」「目先の労働力優先で採用したものの、自社の環境にフィットしなかった」といった悩みが散見される。

リファラル採用であれば、既に自社で活躍している人の紹介・推薦で候補者との接点を持つことが可能であり、企業側としては一定の信頼を置ける。また、候補者側としては紹介者を通じてリアルな会社の状況を知ることができるなど、双方にとっての利点がある。

この結果、企業・候補者どちらにとっても「残念なミスマッチ」になる可能性が減り、長期的な戦力として活躍できる人材の獲得に繋がりやすいといえる。

2. 採用コスト削減


また、リファラル採用は採用コストを抑制することができるのもポイントだ。

上述の通り、リファラル採用は既存の社員を通じて行うため、人材紹介エージェントなどの外部機関を介した時と比べて金銭的なコストは大きく抑えられる。

エージェントに支払う報酬は、採用した人材のオファー年収の30%前後(成功報酬)が相場だ。最近ではオファー年収の100%といったケースもあり、その額は上昇傾向にある。一方で、リファラル採用の場合は紹介した社員に数十万円のインセンティブを支払うケースが多い。一概にはいえないが、30万円前後のインセンティブを用意するだけでも、社員にとっては大きな額になる。

エージェントを頼るほどの資金的な余裕はないが優秀な人材を獲得して迅速な成長を目指したい、スタートアップで特にこの制度の導入が進むのは、こうした予算面での背景もある。

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文=小野祐紀

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