ビジネス

2020.06.11

米ブルックス ブラザーズ、すでに破綻の瀬戸際か?

Photo by Andrew Chin/Getty Images

米紙ニューヨーク・タイムズは先ごろ、 紳士服ブランドの老舗、米ブルックス ブラザーズの3工場が操業停止の危機に直面していると報じた。最近の経済情勢の影響だという。

同紙によれば、ブルックス ブラザーズは今年、6900万ドル(約74億円)の損失を計上する見込みだ。さらに、2022年まで利益(EBITDA:利息、税金、減価償却前利益)を出せない見通しだという(同社は反論している)。同紙はまた、経営陣は破産申請の可能性を「排除していない」と伝えている。

ブルックス ブラザーズの売上高は過去3年間、横ばいが続いている。負債は3億ドルに“近い”という。そして、同社は先ごろ、投資会社ゴードン・ブラザーズから2000万ドルを借り入れたところだ。

記事は主に、ブルックス ブラザーズが「メイド・イン・アメリカ」にこだわってきた方針を転換することついて書いている。だが、この記事が想像させるのは、同社の今後の見通しがいかに暗いかということだ。そう考える理由は、いくつかある。

まず、同社が店舗の閉鎖や破綻処理、企業の清算に関する専門知識・経験が豊富なことで知られるゴードン・ブラザーズから融資を受けたということだ。ゴードン・ブラザーズが融資するということは、一般的な銀行からは融資を受けられなかったと考えられる。また、ゴードン・ブラザーズとしては、融資をしていればその企業の清算手続きを担当できる可能性が高まる。

経済が悪化しているとき、ブルックス ブラザーズほど損失を出している小売業者には、出資する人も、融資する人もほとんどいない。向こう2年は収益が出ないとの見通しも、その後に採算が取れるようになる可能性について、貸し手が持つ疑念や懸念をあまりに大きなものにしている。

経済が現在のような状況にあるなかで、そのような企業を買おうとするのは、持っていれば自慢できる“トロフィーブランド”を手に入れたい投資家だけだろう。だが、現時点では、そうした買い手が出現する可能性も低い。

ブルックス ブラザーズのような状態にある小売業者が買い手を見つけるチャンスを得る唯一の方法は、まずは破産を申請することだ。「ストーキング・ホース」が出現するかもしれない。
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編集=木内涼子

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