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2020.06.11 10:30

時価総額でフォードに迫る、燃料電池トラック企業「ニコラ」


長距離トラックに最適な水素燃料電池


ニコラは、これまでに大手ビールメーカー「アンハイザー・ブッシュ」からの800台を含め、総額100億ドル相当の受注を受けている。ニコラはまだ大きな収益を上げていないが、同社が米国証券取引委員会に提出した資料には、2021年の予想売上高が1億5000万ドルであるのに対し、2024年は32億ドルと大幅に増加する計画が記載されている。

また、2024年にはバッテリーで駆動するモデルを7000台、水素燃料電池で駆動するモデルを5000台販売、もしくはリースで提供する予定だ。これらの数字には、Badgerの潜在収益は含まれていない。

水素燃料電池はバッテリーに比べて格段に軽く、軽油やガソリンを給油するのと同じくらいの時間で水素を補給できるため、長距離トラックへの利用が期待されていた。ニコラは、欧州のCNH/イヴェコやボッシュ、メリトールのほか、韓国のソーラーパネルメーカーであるハンファ、ノルウェーのネルといった企業と提携し、近未来的なデザインの燃料電池トラックを開発している。イーロン・マスク率いるテスラと同様に、ニコラも燃料ステーションのネットワークを構築する予定だ。

燃料電池は水素と酸素の化学反応によって発電し、電力以外には水蒸気しか生成しない。この技術は1960年代に開発されたが、これまではコストが高過ぎる上、耐久性が不足していた。しかし、この10年で技術が成熟し、それに伴って原材料や燃料タンクのコストも下がった。

工業用水素は、主に天然ガスから取り出されるが、最近ではソーラーファームやウィンドファームで発電した電気と水を使って水素を製造する新たな手法が開発された。よりグリーンな製造方法が開発されたことで、カリフォルニア州や欧州、日本、韓国、中国などの規制当局は水素燃料電池の導入を積極的に検討するようになっている。

編集=上田裕資

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