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2020.06.10

コロナ禍のなか、2020年に成長が見込まれる唯一の分野とは

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ユーロモニター・インターナショナル(Euromonitor International)のリポートによれば、新型コロナウイルス流行の影響により、2020年に伸びる分野は、食品・ノンアルコール飲料業界だけとなる可能性があるという。

コロナ危機により、レストランなどの事業は、数週間にわたって店内での飲食休止を余儀なくされた。その結果、自宅で料理する消費者が増えている。米国の一部地域では制限緩和が進んでいるが、まだ自宅で食事するほうがいいと考える用心深い消費者たちもいる。

ユーロモニター・インターナショナルの分析は、新型コロナウイルスの流行が経済と各業界に与える影響に焦点を当てている。全体的に見ると、可処分所得の減少に伴い、個人消費の総額は減少すると予想されている。

「世界の個人消費の成長率は、前年比で実質的に4.3%下降(2019年の実質成長率2.4%から下落)すると見込まれる。新型コロナウイルスにより全世界が景気後退に向かうなか、失業と投資の配当収入の落ち込みに伴い、総可処分所得は前年比で実質3.7%減少(2019年の実質成長率2.6%から下落)する見込みだ」とユーロモニター・インターナショナルは述べている。

食品・ノンアルコール飲料業界は、2020年に伸びを見せる唯一の業界になるかもしれない。ユーロモニター・インターナショナルの予測によれば、このカテゴリーの個人消費は、自宅に食料を備蓄しておきたいと考える消費者たちのおかげで、今後も増加を続けるという。

このリポートでは、消費者の行動に長期的変化が起きる可能性も指摘されている。食品・飲料業界では、すでに変化が起きている。たとえば、「コンフォートフード(身近で馴染みの食料品)」としての冷凍食品の消費が伸び、日持ちのする食品も買いだめされている。また、Eコマースや食品デリバリーも、家にいながら買いものができる便利さと安全性に消費者が慣れるのに伴い、成長を続けると見られている。

「このパンデミックをうまく乗り切れるのは、『ニュー・ノーマル(新たな日常)』への備えができているブランドや企業である可能性が高い。具体的には、デジタルでの消費者エンゲージメント、Eコマース、キャッシュレス決済、在宅消費といったものだ。さらに各社には、利益よりも、人や健康を優先することが期待されるようになるだろう」とユーロモニター・インターナショナルは述べている。

ロックダウンと外出制限が全米で緩和されても、まだレストランやバーなどの店に戻る気にはなれない消費者もいる。そうした消費者は、自宅での料理や飲食を続け、それが食品・ノンアルコール飲料分野の消費を増やすと見られている。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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