100年前のスペイン風邪での漢方医の活躍と、新型コロナに立ち向かう現代漢方の可能性

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新型コロナで報告されている中国の漢方医学的対策


そして漢方医学の母国中国でも、今回の新型コロナ感染症の肺炎治療に関して、臨床例が多く報告されている。

多くの臨床例が中西医結合病院(中医学と現代医学治療の併用病院)で報告され、西洋医学オンリーの治療例よりも漢方との併用医療の方が、効果が上がっているとの報告がなされている。

中でも「清肺排毒湯」という方剤(処方)は有効性が数多く報告され、上海中医学大学のグループではCOVID-19の複製を阻害可能であると報告されている。

漢方
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これからの日本での対応は?


日本でも、中国や台湾などでの臨床例を基に、いまだ標準治療のない、 今回の新型コロナ感染症に対する治療候補として、また併用治療として漢方薬は期待できると考えられる。また今までの多くの使用例や臨床例を基にこれから多くの臨床例を集められると思うし、私は必ずこれからの治療の一助になると信じている。

歴史は繰り返され、また歴史から学ぶ。今まさに現代医療の片隅に追いやられた漢方医学からもう一度学び、やがて来るであろう次の波に備えて「故をたずねて新しきを知る」必要があるのではないだろうか。

参考文献
1)速水隔:日本を襲ったスペイン・インフルエンザー人類とウイルスの第一次世界戦争
2)小川恵子:COVID-19感染症に対する漢方治療の考え方 金沢大学附属病院漢方医学科 
3)矢数 格:漢方一貫堂医学
4)聖光園細野診療所編:病と漢方 健やかに生きるために
5)立花秀俊:傷寒温病診断マニュアル
6)梶井信洋:ツムラ 漢方スクエア かぜ・インフルエンザ漢方治療の工夫

文=高田浩孝

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