コロナをきっかけに定住、改めて考える軽井沢の魅力と移住の課題


──起業には柔軟な発想が必要ですよね。軽井沢のような自然豊かな場所では、クリエイティビティが高まったりインスピレーションが湧いてきたりする感覚はありますか。

軽井沢で綺麗な星空を見たり風の匂いを感じたりしていると、心身ともにクリアになります。東京で夜遅くまで働いていると、自分の中の創造性やクリエイティビティがだんだんと枯れてしまう感覚があったのですが、自然の中に身をおくことで、それらが戻ってくる感じがするんです。

事業を立ち上げるにしても新しいサービスをつくるにしてもクリエイティビティは重要なので、別荘で暮らすコストは少々高いですが、それによって得られる癒しや発想力の向上を考慮すると、その価値は十分にあると思っています。

──軽井沢に別荘を持っている方のなかには、拠点は東京においたまま週末だけを軽井沢で過ごされる方も多くいます。しかし、浅見さんは移住されましたよね。週末に通うことと移住することに違いはあるのでしょうか。

ありますね。実際にその両方を経験しましたが、週末だけ通う場合、軽井沢で過ごす時間は完全にオフ。つまり癒しの時間なんです。一方、平日は常に東京で戦っている状態でした。しかし軽井沢に住むと、そこが生活のメインの場所になるので、競争心が和らいで穏やかになった気がします。それが仕事にとって良いことなのかと言われると、わからないですが。

──仕事以外に軽井沢へ移住してよかったことはありますか。

子育て環境は格段に良くなったと感じています。いま4歳の娘がいるのですが、東京ではビルの中にある小さな保育園に通っていて、自然に触れ合う機会が全然なかったんです。でも軽井沢の保育園は教室の広さが10倍以上ありますし、外に出ると1週間ごとに鳴いている鳥や咲いている花の違いがわかるほど、自然が身近にあるんです。

軽井沢に引っ越してから、娘は自然に対して興味をもつようになり、先日も「なんで雨は降るの?」と質問されました。本質的な意味で賢くなったような気がしています。



──ご主人は軽井沢の生活に関して、どのように思われているんでしょうか。

夫もすごく満足していています。彼のほうが軽井沢の生活を気に入っているようです。夫も会社を経営していているので、日々戦っているというか、常に緊張している状況だと思うんです。そういうときに、家族で温泉に行ったり森へ行ったりすると、副交感神経が優位にはたらきリラックスできますからね。

あとは、単純に家が広くなったこともあり、その満足度も高いようです。
次ページ > 人付き合いの煩わしさは感じない

編集=谷本有香 文=伊藤みさき

ForbesBrandVoice

人気記事