コロナ対策の緩和進める米国、21州で感染者が増加

Photo by Jessica Rinaldi/The Boston Globe via Getty Images

米国の大半の州が新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するために行ってきた外出制限などの措置を緩和するなか、そのおよそ半数に当たる21の州で、新たに確認される感染者の数が急増している。

米ジョンズ・ホプキンス大学のデータによると、米国内で確認された新型コロナウイルスの感染者数は、6月8日の時点で累計190万人を超えている。また、国内での死者数は、同月6日までに11万人を上回っている。

ドナルド・トランプ大統領は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)による国内の死者数は5万~6万人になるとの見通しを示していたが、すでにその2倍以上の人が亡くなっていることになる。

米紙ニューヨーク・タイムズのデータによれば、カリフォルニア州では同月5日、1日当たりの感染者数が過去最多の3593人を記録。ノースカロライナ州は同日、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)による入院患者の数が過去最多の717人に達したことを明らかにした(翌日には708人に減少)。

一方、アーカンソー州では累計の感染者数が、6月最初の1週間だけで30%近く増加。6日に感染が確認された人は、1日当たりの人数では最多の約450人となった。

アリゾナ州では5月末以降、1日に確認される感染者の数が着実に増加しており、6月5日には過去最多を数えた。米誌ニューズウィークによれば、アリゾナ州保健局のウィル・ハンブル元局長はテレビ局FOX10フェニックスに対し、同州では自宅待機命令がちょうど2週間前に解除されていたことから、州内での感染者の増加は「予測できたことだった」と語っている。

これらの州に加え、ユタ州やケンタッキー州、テキサス州など、米国内で8日までの14日間に新たに感染が確認される人が増加した州は合わせて21にのぼるが、なかには検査数を増やしたことがその一因だという州もある。

また、国内全体ではここ数週間、感染者数の増え方にある程度の落ち着きがみられ始めたようにも感じられている。だが、それは主に、イリノイやニュージャージー、ニューヨークといった、これまで感染のホットスポットとなっていた各州での状況の改善が大きく影響している。

疫学者で感染症が専門のコロンビア大学のワファア・エルサドル教授はFOXニュースの番組で、「ニューヨークやニュージャージー、コネチカットといった州が及ぼす影響を除外して考えれば、米国の状況は(一見するより)ずっと深刻だといえるでしょう」と発言。次のように指摘している。

「非常に複雑な状況です。驚くほど状況の改善がみられた地域がある一方で、非常に強く警戒すべき状態にある地域もあります」

編集=木内涼子

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