すべては楽しく生きるため 逃れられない壁を「改善力」で突破する方法

RUNSTUDIO/Getty Images


満員電車でお腹のピーと闘う


僕はまずモチベーションが下がる原因を紙に書き出した。

まず、最初に出てきたのが「通勤」だった。就職するまで、電車に乗ったことがほとんどないまま、満員電車を体験したので、想像を超えるストレスフルな状況になり、お腹を下すようになった。

電車のドアが閉まる音に反応してお腹がピーとなる。途中の駅で降りてトイレに行くので、会社に遅刻し、怒られる。午前中勤務しただけで、すでにぐったりしているという負の連鎖。まずはこれを克服しないと心身ともにもたないと思った。

そこで、まずは満員電車内で瞑想をするとか、これはおしくら饅頭ごっこと思い込むとか、なんとかマイナスイメージを感じないように、ポジティブになろうと思ったのだが、お腹は正直で、またピーとなる。

対処療法じゃ無理だ、もっと根本的に変革しない限りこのピー危機から脱することはできないと考えて、最初はお金をかけてもよいから会社の近くのカプセルホテルに泊まることにした。

しかし、やはり貯金がなくなってしまい、これも続けられなくなった。会社の近くに引っ越すことも考えたが家賃が高く、会社から与えられた独身寮のほうが格安で快適なので、これはボツ。始発電車にチャレンジしたが、これも続かなかった。

ある日、グリーン車なるものが存在することを知った。初めて乗ったときの感動はいまでも忘れない。お腹がピーとならない。当時の給料からするとグリーン車はかなりの出費だったが、これはGOだ。満員電車のストレスが減るたびに、エネルギーが湧いてくるのがわかった。

そのお陰で営業成績が上がってきた。するとお客さんのところに直接行くことで、満員電車を避けられるようになったり、そのうちにお腹も下さなくなったり、ある意味、この問題を乗り越えた経験は、僕にとっては大きかった。

これまで、問題から逃げてばかりいた僕が、初めて「改善」の楽しさを知ったのだ。そこから人生が一気に好転していくことになる。

辛いと感じることをできるだけ避けるために何ができるか、どうしたら自分が楽しいと思えるか。もし当時の僕と同じように悩んでいる人がいたら、まずは紙に書き出してみることをお勧めしたい。紙に自分の感情や状況を書き出すことで客観的に観察することができるのだ。

自分のことになるほど見えなくなるからこそ、改めて自分を見つめ直す。そこから改善できることをひとつずつ丁寧に実行していけば、長いスパンで見れば、指数関数的に増加する成長曲線を描くことができるだろう。

文=武田双雲

ForbesBrandVoice

人気記事