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2020.06.09 11:45

コロナだけではない、ギャップの抱える問題

Sion Touhig/Getty Images)

Sion Touhig/Getty Images)

米カジュアル衣料大手ギャップが発表した2020年2~4月期決算は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けて全世界の店舗のおよそ90%を閉鎖したことが響いて、売上高が前年同期比43%減った。ただ、コロナとは別に以前から続いていた問題も鮮明になっている。
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米商務省の統計によると、米衣料小売業界の4月の売上高は前年同月に比べ90%近く減り、落ち込み幅は3月の50%減からさらに広がった。サンフランシスコに本社を置くギャップも閉店の影響を免れず、全体の売上高の約半分を占める傘下最大のブランド「オールドネイビー」は実店舗の売上高が前年同期比60%急減。2番目に大きい「GAP」も実店舗の売上高が64%減っている。

だが、今回の決算にはそれらと対照的な数字がある。オールドネイビーとそれよりはるかに規模の小さいブランドの「アスリータ」は、実店舗の売上高が落ち込む一方で、ネット通販の売上高は増えているのだ。これは、アメリカン・イーグル・アウトフィッターズやアバクロンビー・アンド・フィッチ、アーバン・アウトフィッターズといったほかの衣料小売りにも共通してみられる傾向だ。

ただ、ギャップの場合、看板のGAPブランドはオンライン売上高も5%減っており、定番ブランドとしての建て直しに依然として苦慮していることがうかがえる。より高級なブランド「バナナパブリック」のオンライン売上高減少についても同じことが言える。
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ギャップの経営陣もGAPブランドについてはやるべきことがたくさんあると認めている。今回のパンデミックを機に店舗閉鎖や家主側とのリース条件の再交渉を進め、引き続き実店舗の売り場を縮小していく予定だという。

ソニア・シンガル最高経営責任者(CEO)は4日の電話会議で「GAPはわたしたちにとっての課題になっている」と述べ、再建戦略として、デザインチームに「クリエイティビティ面の自信」をもってもらうことなどに取り組んでいると説明した。ただ、具体策はほとんど語られなかった。

人気が低迷しているGAPとバナナリパブリックは、過去2年で計170店ほど削減され、昨年時点で718店舗となっている。一方、オールドネイビーとアスリータはこの間に計180店超増え、1400店舗近くを数えるまでになっている。

米小売業界はコロナで打撃を受けていたところに、黒人男性の暴行死に対する抗議デモに乗じた略奪が追い打ちをかけた。こうしたなか、ギャップは引き続きコスト削減に取り組む考えを示し、GAP部門を中心に全体で15%の人員を減らす計画などを明らかにした。同社は配当や株式買い戻しを停止しているほか、閉店中の賃料支払いも凍結していた。

ギャップの発表によると、これまでに北米の全店舗の半分超にあたる約1500店舗が営業を再開しており、月内には大部分が再開する見通しとなっている。同業他社と同じように、再開した店舗の販売は好調だという。一方で、ギャップは米ショッピングモール運営最大手のサイモン・プロパティから、閉店中の賃料の支払いを求めて提訴されたとも報じられている。

GAPブランドの再建計画にはさまざまな不確実性がともなっており、クールなブランドとしての復活は今後ますます厳しくなっていきそうな雲行きだ。

編集=江戸伸禎

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