ロシアの検索大手ヤンデックスの最新「自動運転車両」の実力

Yandex

世界中の大手検索エンジン企業が自動運転車の開発を進めている。グーグル系のウェイモ(Waymo)を筆頭に、中国のバイドゥ(百度)やロシアのヤンデックス(Yandex)らが独自の自動運転車を開発中だ。

ヤンデックスは、2016年に開発プロジェクトをスタートさせ、このほど韓国の自動車部品メーカー「現代モービス」と共同開発した第4世代の開発プラットフォームをローンチした。

ヤンデックスは、これまで主にトヨタの 「プリウスV」を自動運転車のベースに用いてきたが、今後は現代の「ソナタ」の最新モデルを基盤にするという。現代モービスは、現代自動車グループ傘下の自動車部品企業で、主にセンサーやコントロール・ユニットなどの電子装置を製造している。

現代モービスは、ヤンデックスと密接に連携を取りつつ最新のセンサースイートや電子装置、処理プラットフォームを車両に実装した。多くの自動運転車企業がハイブリッド車やEVを使用しているのに対し、ヤンデックスが基盤にしているソナタはハイブリッドモデルではない。ロシアではソナタ・ハイブリッドが認可されておらず、流通していないからだ。

ヤンデックスは自動運転車の消費電力に対応するため、オルタネーターの出力が高い車両を使用している。同社がソナタを採用した理由は、プリウスVよりもプレミアムな体験をユーザーに提供できるからだという。

アップグレードしたセンサースイートは、カメラが3台増え、全部で9台となっている。それぞれのカメラの焦点距離を変えることで、異なる検出距離や視野を実現している。レーダーシステムは合計6台で、4台がルーフに、2台がフェンダーに搭載されている。ルーフの4台のうち、2台が前向き、残り2台が後ろ向きに設置されている。フェンダーには、レーダーシステムの他にLiDARとカメラが内蔵されている。

LiDARの構成は第3世代のプリウスと似ているが、フェンダー内蔵のユニットは視野を拡大するために位置を修正している。ルーフに搭載したユニットの視野は360°で、長距離を計測することができる。

フロントグリルに内蔵されたユニットは、車両の前面を精緻に計測するため、下向きに設置されている。ヤンデックスは、低コストなLiDARセンサーを独自開発しているが、今回の車両には実装されていない。
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編集=上田裕資

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