ロシアの検索大手ヤンデックスの最新「自動運転車両」の実力

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悪天候に対応する「センサーの清掃機能」


ハードウェアのアップグレードの中でも重要なポイントは、センサーを清掃するシステムが搭載されたことだ。自動運転車が悪天候で走行する場合、センサーを清掃しなければ計測精度が低下してしまう。モスクワやミシガンでは、冬には融雪剤が撒かれ、夏には昆虫がセンサーに衝突するなどし、センサーが正常に機能しなくなる恐れがある。

テスラは、全車両に完全自動運転機能を搭載しているが、これらの問題には対応していない。

処理プラットフォームは、トランクスペースを広くするためにリパッケージされ、タクシーとしての利便性が向上している。処理プラットフォームには、インテル製CPU「Xeon」や、エヌビディア製のGPUを採用している。

ヤンデックスの広報担当者であるYulia Sheykoによると、2018年に開発した前モデルに比べてハードウェア性能は大幅に向上しながら、コストは半分程度に削減できたという。同社は、これまでに自動運転技術を搭載したソナタを5台組み立てており、年内に100台を製造する予定だ。

現在、ロシア、イスラエル、韓国、ミシガンで開発を進めており、今後はロシアのイノポリスでロボットタクシーの実証実験を行う予定だという。

ヤンデックスは、2020年のCESでドライバーが乗車していない完全自動運転車でラスベガス市内を走行してみせた。このときは、交通量が比較的少ないルートが選ばれたが、助手席のオペレーターがシステムを停止することなく、安定した走行を行った。

筆者も体験してみたが、興味深かったのはこれまで乗車した自動運転車に比べて運転が荒かったことだ。これは、運転マナーの悪いドライバーが多いモスクワやテルアビブで自動運転のトレーニングを重ねた結果、AI(人工知能)がそのような状況でサバイブする術を身につけた結果だと思われる。

ヤンデックスは、自動運転車の開発では後発組として2016年に参入したが、目覚ましい進歩を遂げている。

編集=上田裕資

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