NYの抗議デモに変化の兆し 街は経済再開へ向けて歩き出す

6月6日SOHOエリアの抗議デモの様子。ポジティブなエネルギーを感じる(筆者撮影)

ニューヨークで抗議デモが5月29日に始まってから、約1週間が経過した。夜には破壊行為や略奪行為で街はカオス状態になり、連日問題視されている。6月1日より夜間外出禁止令が発令され、初日は夜11時以降、エッセンシャルワーカー以外の外出が禁止となったが、それでも暴徒化は収まらず、多くの略奪行為が行われた。

夜に破壊行為や略奪行為を繰り返す暴徒を抑えるため、6月2日より夜間外出禁止は夜8時以降に早まり、6月7日まで延長が決定。

そのため、全ての抗議デモは夜8時までに終わるよう、リーダーたちによって呼びかけられた。

夜8時以降は街から人が消え、警察官も増員したため、今まで抗議デモの群衆に紛れ、便乗してきたルーター(略奪者)は略奪・破壊行為を行いづらくなった。

その結果、夜の破壊行為や略奪行為は少し沈静化。メディアでの報じられ方も変わってきた。特に、平和的に抗議デモを行う「プロテスター」 と破壊・略奪行為を行う「ルーター」を同じにしないよう呼び分けている。


夕方6時に「あと2時間以内に全員帰宅するように」と呼びかけるリーダー達(筆写撮影)

団結力の高まり


抗議デモは収まるどころか、日に日に盛り上がりを見せている。昼間の抗議デモは「Peaceful Protest」(平和的な抗議デモ)を意識し、暴徒化を抑止するよう努めている。

一部ヒートアップしたプロテスターが、夜8時以降も帰宅せずに抗議デモを続けているが、「ルールを守って正しく抗議しよう」と呼びかけプロテスター同士で規制しあっている。

また、抗議デモが始まった当初に散見していた、プロテスターと警察官との衝突も減ってきた。デモに賛同し、警官が膝をついてデモ隊への共感を示す姿がメディアでも報じられ、関係性が変わってきた。最近では、暴言が飛び交うというよりも、警察官とプロテスター (デモ参加者)がお互いに尊重しあい、黒人差別を無くそうという団結力を感じられるようになった。


画像出典:pix11

参加者の人種の多様化


抗議デモに参加する人々の様子も変わってきた。前は比較的黒人系の方が多かったが、今ではより多くの人種が混ざっている。年齢層は20代の若い世代が多い印象だ。


撮影:Brian R. Moore

デモ開始当初は、警察官やトランプタワーの前を通過するときに、多くのプロテスターが声を荒げて暴言吐くなど、ピリピリとした緊張感があった。

しかし今では、「怒り」ではなく、「未来の変化への希望」を叫ぶ、そんな雰囲気だ。「私たちが黒人差別を無くすんだ、未来を変えるんだ」そんなポジティブなエネルギーに圧倒された。ボランティアでお水やお菓子を無料で配り、抗議デモをサポートする人も多い。


クーラーボックスにお水とお菓子を入れて配布する女性たち(筆写撮影)


デモ参加者へ道路の脇よりお水を配る男性(筆写撮影)


デモ参加者へお菓子を差し入れする男性(筆写撮影)
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文=吉田優華子

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