NYの抗議デモに変化の兆し 街は経済再開へ向けて歩き出す

6月6日SOHOエリアの抗議デモの様子。ポジティブなエネルギーを感じる(筆者撮影)


ルーターによる略奪行為。経済再開への影響は


高級ブティックが立ち並ぶ有名なファッション街・SOHO(ソーホー)エリアは最も略奪行為を受けたエリアのひとつだ。6月8日に経済再開のフェーズ1を控えたSOHOエリアはどのような状態なのか様子を見に行った。

到着してすぐ、信じられないほどの静けさと、すっかり防護板張りの建物に埋め尽くされた街に言葉を失った。私は、経済再開へ向けて、多くのお店が開店準備で忙しくしていることを想定していたからだ。ほとんどのお店が防護板で補強されているが、隙間から割られたガラスや荒らされた店内が垣間見える。 


6月6日SOHO。お店を補強するベニア板には多くの落書きが(撮影:Brian R. Moore)

「3回も荒らされたドルガバと、1回も狙われなかったマルニ」


SOHOの中でも多くの高級ブランド店が並ぶマーサーストリート。ドルチェ&ガッバーナやヴェルサーチなどの有名高級ブランド店は何度も略奪の被害に遭っている。防護板では隠しきれない窓の破損が顔を覗かす。また、昨夜も誰かが防護板を剥がそうとした痕跡が残っている。


ヴェルサーチは入り口の窓が割れ、防護板もほぼ外されている(撮影:Brian R. Moore)

そんな損壊の多いマーサーストリートだが、マルニだけ防護板をつけることもなく、また窓も割られずに無傷な状態だった。


マルニの外観。一部落書きがあったが、破損はない(撮影:Brian R. Moore)

マルニの店内を覗き込むと商品は一つもなく、避難させているようだ。また、店内が荒らされた形跡もない。偶然、このビルのオーナーが様子を見にきていたので話を聞くことができた。


マルニをテナントにもつビルのオーナー(撮影:Brian R. Moore)

──このエリアの略奪行為は目撃しましたか?

日曜と月曜はすごかったよ。外出禁止令が始まる前だね。

──マルニは被害に遭っていないように見えます。

ルーターは名の知れたブランド店、例えばドルチェ&ガッバーナやルイ・ヴィトンなどを主に狙ったみたいだ。マルニは被害に遭わなかったね。ラッキーだよ。マルニの隣のドルチェ&ガッバーナなんか3回も略奪行為に遭った。毎日防護板を設置しては壊され、その繰り返しだね。


マルニのすぐ隣はドルチェ&ガッバーナ(撮影:Brian R. Moore)

──マルニが狙われなかったのは、元から商品を避難させていて店内に商品がないことが外からでも明白だったからでしょうか?

いや、そうじゃない。マルニも有名だが、もっとわかりやすいブランドが狙われるんだよ。この通りだとドルチェ&ガッバーナとヴェルサーチはルーターの被害に複数回遭っている。

──信じられないような話ですね。ルーターは高級店を片っ端から狙ってるのだと思っていました。

転売しやすいブランドが狙われているんだよ。月曜日から小売店も制限はあるものの店頭販売やピックアップ販売が可能になる。本来であればこの週末は開店準備をしたいところだが、夜に略奪行為が行われるかもしれないため、商品を並べたり、ましては防護板を外すことはまだできない。月曜日に開店を予定しているお店は多いが、まだ油断できない。

抗議デモ、いつまで続く?


いま、アメリカだけではなく、ヨーロッパやオセアニアにまで抗議デモは広がっている。正直、誰にもこの抗議デモがいつまで続くかはわからない。

現時点で言えるのは、日中の抗議デモへの参加者は日に日に増えており、これからも黒人差別撤廃への戦いは続くということだ。

文=吉田優華子

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