越境4カ国座談会で見えた「教育の新しい日常」 親の覚悟がカギを握る

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コロナ前から「ホームスクーリング」。3.3%が在宅学習(米国)


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アメリカ オンライン教育の画面

小西:アメリカでは、ホームスクーリングと呼ばれる在宅教育が以前より認められていて、統計によれば、5歳から17歳の義務教育期間に相当する子どものうち、3.3%が家庭を拠点に学んでいます。そこでは、保護者や家庭教師から教わるだけでなく、民間業者が提供するオンライン学習も以前から行われていました。ただ数値を見てわかるように、あくまでも特別な例です。今回のように、全米の学校が長期間にわたり閉鎖され、オンライン学習が実施されたのは初めてと言えます。

もともと、地域や住民層などに応じて、学校レベルの格差が社会問題化しています。今回もハード面の整備から行わなければいけない学校もあれば、特段の支障もなくスムーズに移行した学校もあります。学校の違いのみならず、先生の熱意などによる違いも大きいです。

髙崎:義務教育は親の側の「子どもに教育を受けさせる義務」なので、手段は登校に限らないのですよね。在宅教育をさせる家庭はフランスにもありましたが、やはり特別な例でした。それが一気に全国に広がったことは、改めて考えてもすごい変化だったなと。

高校・大学・成人学校はオンライン、小・中は通常運転(スウェーデン)


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通常営業のスウェーデンの小学校

久山:スウェーデンは保育園・小・中学校は普段どおりですね。ただ、今は「ちょっとでも風邪気味だと登校してはいけない+症状がなくなってから2日は自宅待機」なので、普段より出席率が低いようです。

中野:シンガポールでもインターは隔週で合計2週間通った後に夏休みに入ってしまうこともあり、6月に再開されても感染リスクが排除できないのではとの懸念もあり登校させない選択をする親もいそうです。

髙崎:自宅待機する場合は、家では勉強するのでしょうか?

久山:学校・クラスによって違いますが、娘の学校では、各教科の先生がひとつのグーグルドキュメントに毎週授業内容をアップデートしてくれるので、それを頼りに家で自習しています。私は高校で教えているので、リモートワークになりました。普段の時間割がそのままオンライン授業に移行したんです。
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編集=石井節子

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