経済・社会

2020.06.08 11:30

米国人の8割が「国家が操縦不能」と回答、選挙はバイデン有利

ジョー・バイデン(Photo by Tasos Katopodis/Getty Images)

ジョー・バイデン(Photo by Tasos Katopodis/Getty Images)

最新の世論調査によって米国人の大半が、パンデミックと抗議活動の中で「この国が操縦不能に陥った」と考えていることが判明した。また、この秋の米国大統領選挙に向けて、元副大統領のジョー・バイデンと民主党が支持を伸ばしていることが明らかになった。
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ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とNBCニュースが、有権者登録を済ませた1000人を対象に5月28日から6月2日にかけて実施した調査の結果、全体の80%が「米国がコントロール不能の状態である」と回答し、「コントロール出来ている」と答えたのはわずか15%だった。

支持率では元副大統領のジョー・バイデンが49%で、ドナルド・トランプの42%を7%上回った。民主党の支持率は51%で、共和党(40%)に11%の差をつけた。

経済に関しては、「素晴らしい」もしくは「良い」と回答したのがわずか22%だったのに対し、「まずまず」が31%で、46%が「悪い」と答えた。「経済にとって好ましい大統領は?」との質問ではトランプがバイデンを11ポイント、リードした。
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しかし、バイデンのほうがトランプよりも適任で、変化を起こせる人物と考えられており、暗礁に乗り上げた米国の政治に適切な対応が出来るとみなされているようだ。

バイデンはまた、人種的マイノリティやヘルスケアの問題への対処や、国をまとめあげる力に関して、トランプの2倍の評価を得ている。

不支持率に関して言うと、バイデンもトランプも不支持が支持を上回っている。しかし、バイデンが支持率37%で不支持率が38%だったのに対し、トランプは支持率40%に対し不支持率が51%だった。

今回の世論調査は、新型コロナウイルスのパンデミックにより約11万人の米国人が亡くなり、警官の暴力によって死んだジョージ・フロイドの事件に対する抗議デモが吹き荒れる中で実施された。米国経済はダメージを受け、それに続いて発生したデモが全米に拡大する中で混沌とした状況が続いている。

ABCニュースが6月3日から4日に実施した、トランプのジョージ・フロイドの事件の発生以降の対応についての支持率はわずか32%だった。彼の対応を支持しない人々の割合は66%に及んでいた。

「反中」の追い風を活かせないトランプ


トランプは、パンデミックへの対応でも不評で、彼の対処を支持すると回答したのは39%で、支持しないが60%だった。WSJの世論調査でも、トランプのパンデミックへの対応を支持すると答えたのは43%で、支持しないが55%だった。また、全体の60%が、トランプが感染拡大について「責任がある」と回答した。

今回のWSJの世論調査はトランプが、中国とオバマという彼のこれまでの最大の引き立て役を、十分に活用できいないことも示している。オバマを支持すると答えた人々の割合は、他のどの著名人よりも高く、全体の57%が支持で、30%が不支持だった。

また、人々の中国に対するイメージは非常に悪く、前向きなイメージを持つと回答した人々の割合はわずか5%だった。一方、中国がパンデミックに関し「何らかの責任がある」と答えた人々の割合は83%に及んでいた。

しかし、中国に対し強気の対応がとれる大統領候補者が誰かについては、意見が分かれている。トランプのほうが中国に対し好ましい対応がとれると答えた人の割合は43%で、バイデンは40%だった。トランプは、バイデンの中国への姿勢を「弱腰だ」と非難するが、バイデンはこの点でもトランプにやり返している。

編集=上田裕資

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