ビジネス

2020.06.09

日本の大企業で新規事業を成功に導く5つのポイント

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4. 財務の数字にこだわれ


ここでいう数字は、売上、利益、キャッシュフローだ。PVや信頼度などの「過程」の数字ではない。ただし、最初から売上をKPIにしているような環境では、本業との比較で行き詰まることになるだろう。

とはいえ売上に直結しないことを延々と繰り返しても何も結果を生まない。心の中では財務の数字にこだわり、公には非財務の数字を押し出していく方が、事業を進めるにはちょうどいいと感じる。

財務の数字にこだわる必要があるのは、大企業ならではの理由がある。新事業に対する全体評価が短期間で大きく変わる可能性があるためだ。担当役員が変わったり、新事業の体制が変わったり、本業の収支が変わったりすると、一気に新事業に対する評価が変わる。

事業化の決定時などに当初会社側と交わしていた約束とは違う評価が、事業推進途中から始まったりすることもある。数字を求めてこなかった事業は、残念ながら本格投資する前に撤退ということにもなりかねない。

それをふせぐためには、財務的に数字をしっかり作っておくことだ。どんな状況下でも数字さえしっかりあげていれば、誰もが一定の理解を示してくれる。大企業の人事サイクルを考えると、3年程度で環境が変わってしまうことを考慮し、3年後でも戦える数字をあげておくイメージを持っておく必要がある。

5. 事業立ち上げフェーズごとに、必要な人材が変わることを認識せよ


0→1を立ち上げるフェーズ、1→10にするフェーズ、10→100にするフェーズ。同じ事業でも使う力が違ってくる。

私はよく次のように例えている。事業リーダーは、0→1のフェーズではピッチャー、1→10のフェーズではセッター、10→100のフェーズではキーパーになれ、と。

同じ事業でもフェーズごとに環境も、使う筋肉も、そしてポジションも違ってくる。一人で最初から最後のフェーズまで進めるのは、基本的には難しい。しかし、それをやらなければいけない大企業が多いのも事実。

仲間を集める時は、フェーズごとに人材要件が異なるので、それを理解した上でジョインしてもらおう。繰り返すが、0→1のメンバーだけで、10→100はできない。

文=荻沼雅美

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