新型コロナ後のスパ、スペインの高級施設での取り組み

イメージ(Photo by Alex Bertha on Unsplash)

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が生むストレスを考えると、スパでの癒やしの時間は普段よりうれしい体験になるだろう。しかし、セラピストとの距離の近さや、手で直接体に触れられることは、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)のルールでは制限されている。スパは新型ウイルス流行前と同じように機能できるのだろうか?

スパ施設の多くは今、この問題の解決に取り組んでいる。そうした中、他の企業が模範とできるような方法を考案した施設がある。

スペイン・アリカンテにあるSHAウェルネス・クリニックは、ホリスティック(全体観的)なケアを行うクリニック兼スパ施設だ。現在はスペインの観光業再開指針に従い、7月の予約を受け付けている。

最初のステップは、従業員に対し、職場復帰前に新型コロナウイルス検査を受けさせることだ。また滞在客も、到着の24~48時間前に検査を受ける必要があり、到着時には抗体検査と診察を受ける。客と従業員が利用する区域には、体温測定のためサーモグラフィーカメラが設置される。

各宿泊客の免疫系の状態を見極めるため、全員に対して免疫療法とリンパ球分析結果についての診察が行われる。また、免疫系を向上させるパッケージが作られ、「リバランス(Rebalance)」と呼ばれるプログラムには無料で追加される。宿泊客が選べる免疫向上処置には、その他にも幹細胞治療や赤外線加熱、最適電磁バランス、オゾン治療、血清療法治療などがある。

パンデミック後の世界では、全ての施設で清掃と消毒の手順強化が必要となる。SHAでは、部屋や公共エリアは抗ウイルス製品や紫外線(UV)技術を用いて洗浄される。全ての部屋と共用スペースにはUVタワーが設置され、車や荷物はオゾン処理で消毒される。

滞在客が気付くような変化としては、受付ではなく部屋でのチェックインや、消毒ジェルやマスク、手袋の無償提供がある。紙の使用は廃止され、レストランや処置メニューはSHAのアプリで参照できるようになる。待合室にいる人の数を減らし、互いとの距離を保つため、予約はずらして入れられるようになる。

処置室では施術と施術の間に手術室水準の消毒が行われる。各施術での規則はまだ作成中だが、セラピストと宿泊客はどちらもマスクを着用しなければならず、セラピストはできるだけ手袋を着用することになる。

SHAでは外国からの顧客が多いため、追加の安全策として、居住国とクリニックの間の交通手段も用意される。SHAはロンドン、パリ、モスクワ、ニューヨークの主要4市場向けにプライベートジェットを手配する予定だ。

編集=遠藤宗生

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