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若者たちによるデモ(Shutterstock)

久山:それでもここ数年、気候変動の危機を多くの人々が認識するようになりましたね。スウェーデンではスーパー以外の小売店でもビニール袋が有料になり、わたしも店舗で購入した服を自分のエコバッグに突っこんで帰るようになりました。また飛行機に乗ることを恥ずかしいと思う「フライト・シェイム」が流行語になり、夏休みには列車でヨーロッパ内を旅行するのがトレンドになりました。

高見:その変革に貢献したのが、17歳のスウェーデン人環境活動家グレタ・トゥーンベリさんでしたね。パンデミック前は、何百万人もの世界の若者に「気候のための学校ストライキ」のインスピレーションを与え、気候変動をストップするための活動を精力的にこなしてきました。

そのグレタさんは、今の気候危機の状況を「家が火事になっている」と表現していました。それでも火を消そうとしない大人たちにしびれを切らし、2年前に行動を始めています。国会議事堂の前での座り込みは日本でもニュースになりましたね。スウェーデンが科学者の意見にもっと耳を傾け、気候変動に関するパリ協定の目標を達成できるような政策を実施するまで、毎週金曜日に学校ストライキをすると決めたのです。

賛同する人は一緒に学校ストライキをしましょうとも呼びかけた。ひとりで始めた活動でしたが、すぐにSNSで国内外に広まり、多くの賛同を得ました。「子どものくせに!」「子どもは経済のことなどわかっていない」と激しい批判も受けましたが、彼女たちは、大人が対策しないと気候変動に命を脅かされる社会で生きることになる当事者なのです。世界の政治家は「当事者である子どもたち」の声を聞くべきだと思います。

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高見:2019年には、グレタさんの意見を聞くために、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)やヨーロッパ各国、アメリカ、カナダの政治家が議会に招聘しました。さらには多くの都市で若者たちとデモ行進を行い、「気候正義」を訴え、世界の人々の心を動かしたのです。その結果、米『タイム』誌で「2019年に最も世界に影響を与えた人物」に選ばれ、表紙を飾りました。今年の2月までに、グレタさんに賛同した世界の600万人が立ち上がり、その勢いで気候緊急事態宣言をする国や都市も増えてきていたんです。2020年には、世界各国が気温上昇を1.5度に抑えるために、5年前よりも先駆的で勇気ある政策が打ち出されることが期待されていました。

久山:新型コロナウイルスの感染拡大後も、グレタさんは積極的に活動されているのでしょうか。

文=高見幸子・久山葉子 構成=石井節子

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