米人気ドライバー、ケン・ブロックが13歳の娘に教えた凄技とは?

ラリードライバーのケン・ブロック(Kevork Djansezian/Getty Images)


すると彼女から素朴な質問があった。「パパ、ここでいうドーナツってどういうこと?」と。

ドーナツとは、「車両の後輪を軸として車体を連続的に回転させ、ゴムによる円形のタイヤ痕(ブラックマーク)を路面に付けることだよ。わかった?」とブロックは説明する。

考えてみれば、大変なレッスンのはずだった。と言うのは、当日3日前に、リアちゃんはクラッチ付きの6MT車の操作をパパから教わったばかりだった。そして、この日に、まだ慣れない6MTを操作しながら、今度は急加速してから、急ブレーキをかけ、ハンドルを曲げると同時にハンドブレーキを引っ張ってテールをスライドさせる。

当然、最初は何度も失敗する。クルマが曲がりすぎたりしてエンストだ。でも、ブロックの細かい教えを聞きながら、彼女はクルマの後輪を流すコツを覚え、最後はパイロンを2周回ってドーナツの円を描いた。たった13歳でだ。

まるで日本のJujuちゃんみたいだ。元F1ドライバー野田秀樹の娘のjujuちゃんは、小学生の時からフォーミュラ・カーに乗ってレースで優勝しているが、それはやはり野田が丁寧に教えたからこその成長で、ついに欧州のレースシリーズにまで到達したわけだ。

リアちゃんが将来、ブロックと同じの道に進むかはわからないけど、この恵まれた環境で育つなら、きっと一流レーシングドライバーの感覚やスキルは確実に身に付くだろう。パパが最高の先生だからね。

連載:国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
「ライオンのひと吠え」過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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