日本でも抗議デモの様子が報道されているが、ニュースでは、デモ参加者の「暴徒化」や警察の迎撃による対応への批判など、過激な面を中心に取り上げられることが多く、平和的な抗議活動の広がりはなかなか伝えられていない。
過激なデモの裏側に隠れてしまっている、デモ参加者が伝えたいこととは何なのか。参加者はそれぞれ、何を想い、どのような意思を表示しているのだろうか。世界各地で撮影された写真から読み取っていきたい。
プラカードが伝えるメッセージ
まず、デモ参加者が掲げるプラカードの言葉に注目したい。冒頭の写真は「黒人を殺すのをやめてください」とある。これは、白人警官による、罪のない黒人を殺害する事件がアメリカで相次いでいるという現実を表す。
今まで人種差別の犠牲になってきた人々の名前が記されている/オランダ・ハーグ
上記は、オランダのハーグで掲げられたプラカードの写真だ。今回の事件で亡くなったジョージ・フロイドさんのイラストの周りに書かれているのは、 “肌の色” が原因で白人の警官や一般人に射殺された人々の名前だ。特筆したいのは、被害者の多くが未成年から20代の若者であることだ。最も若い被害者は、当時12歳だった。今回の事件以外にも、事故では済まされない、非人道的な殺害による犠牲者は後を経たない。
プラカードに記された事件の一部を紹介する。いずれも遠い過去の話ではないのだ。
Ahmaud Arbery: 2020年2月、25歳のアフリカ系アメリカ人男性が、ジョギング中に、近所で発生した強盗だと勘違いをされ、白人親子に撃たれ死亡。
Breonna Taylor: 2020年3月、26歳のアフリカ系アメリカ人女性が自宅に突入してきた警官に8回撃たれ死亡。住所間違いの令状を持っていたという。
Trayvon Martin: 2012年、17歳のアフリカ系アメリカ人の少年が白人警官に撃たれ死亡。口論から発展。被害者は武装をしていなかった。
Tamir Rice: 2014年、12歳のアフリカ系アメリカ人の少年が白人警官に撃たれ死亡。おもちゃのエアガンで遊んでいたときだった。