肉食を減らせ、さもなくば「次のコロナ」はさらに無敵に

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2045年には化石燃料ゼロにする宣言して、2016年に「化石燃料ゼロのスウェーデン(Fossil Free Sweden)」というプロジェクトが始まっていました。今後4年間、そのプロジェクトを継続することが決議されたんです。

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イメージ:Fossilfritt Sverige

これは、スウェーデンの産業界が「再生可能なエネルギーに切り替えるためのアクションプランの構築」をサポートするプロジェクト。世界で一番早く、化石燃料ゼロを達成する福祉国家を目指してのことです。この路線を、コロナ復興と統合させての継続を決議したことは大いに評価できます。これによって、スウェーデンが取り組む気候変動対策の先進的な技術が発展し、新たな雇用を生むことも期待されますね。

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私たち人間が考えるべきこと


久山:私たち人間が、今回のパンデミックで学んだことはなんでしょうか。

高見:新型コロナウイルスは、これまでコウモリの体内でコウモリに害を与えず共生していたと聞きます。それなのに人間がコウモリを捕まえ、売買する過程で他の動物を介して人間にも感染したという説が一般的です。もし、そうではなく、アメリカが主張するように中国のウイルス実験室で発生したものだとしても、ひとつ共通していることがあります。それは人間が、自然界を好き勝手に操作しても構わない、自然界は人間がコントロールできると考えている傲慢さです。

今回、疫学専門家でも戸惑うような未知のウイルスのパンデミックを体験し、人間は自然を制御できないという謙虚な考えが、全世界の人々に認識されているとよいのですが。ポストコロナ社会において、気候変動危機や生物多様性の危機を考え、自然保護、環境保全が進むことを切に祈ります。持続可能な社会とは、自然循環の中で活動できる社会なのです。

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出典:ナチュラル・ステップ

後編:温暖化で人は即死しない、が━。コロナとの共存と「気候正義」に続く


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高見幸子(たかみ・さちこ)◎1974年よりスウェーデン在住。1995年から、スウェーデンへの環境視察のコーディネートや執筆活動等を通じてスウェーデンの環境保護などを日本に紹介。元国際環境NGOナチュラル・ステップ・ジャパン代表。現在、ヨスタ・フロム森のムッレ財団副理事長、日本野外生活推進協会事務局長。幼児の自然環境教育「森のムッレ教室」の普及活動を支援している。「日本再生のルール・ブック」(海象社、2003年)「北欧スタイル快適エコ生活のすすめ」(共著・オーセス出版、2000年)「エコゴコロ」(共著・共同通信社、2006年)など(共)著書、訳書多数。

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久山葉子(くやま・ようこ)◎スウェーデン語文学翻訳者、エッセイスト。 高校時代に1年間AFSでスウェーデンに留学。東京のスウェーデン大使館商務部勤務を経て、2010年に日本人家族3人でスウェーデンに移住。現地の高校で日本語を教えている。著書に『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』、訳書多数。

文=高見幸子・久山葉子 構成=石井節子

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